キャリアアップ助成金はいくら?正社員化80万円が20万円になる条件【令和8年度】
まず確認すること
- 対象
有期雇用労働者・短時間労働者・派遣労働者などの非正規雇用労働者を正社員化・処遇改善する事業主(中小企業・大企業)
- もらえる額
正社員化コース1人80万円(中小企業・有期→正規・重点支援対象者)+事業所加算80万円
正社員化コース(1人):有期→正規 重点支援対象者80万円/60万円(中小/大企業)・左記以外40万円/30万円、無期→正規 重点支援対象者40万円/30万円・左記以外20万円/15万円。加算(1事業所1回):正社員転換制度の新設20万円/15万円、多様な正社員制度の新設40万円/30万円、情報公表20万円/15万円(令和8年4月8日以降の転換)
上限額は補助の上限で、実際の受給額とは異なります。
- 手続き
申請方法:オンライン・郵送併用
実施機関:厚生労働省
- 受付の状況
募集中
公募要領・公式情報をご確認ください
補助金の基礎データ 公募期間・実施機関・申請方法・公募要領 — 対象と金額は上の「まず確認すること」を参照
有期雇用労働者・短時間労働者・派遣労働者などの非正規雇用労働者を正社員化・処遇改善する事…
- 対象地域
- 全国
- 対象者
- 有期雇用労働者・短時間労働者・派遣労働者などの非正規雇用…
- 補助上限
- 正社員化コース1人80万円(中小企業・有期→正規・重点支援対象者)+事業所加算80万円
- 補助率・給付条件 補助率とは
- 正社員化コース(1人):有期→正規 重点支援対象者80万円/60万円(中小/大企業)・左記以外40万円/30万円、無期→正規 重点支援対象者40万円/30万円・左記以外20万円/15万円。加算(1事業所1回):正社員転換制度の新設20万円/15万円、多様な正社員制度の新設40万円/30万円、情報公表20万円/15万円(令和8年4月8日以降の転換)
- 公募期間
- 通年(各コース実施日の前日までにキャリアアップ計画を提出。正社員化の支給申請は転換後6か月分の賃金を支払った日の翌日から2か月以内)
- 実施機関
- 厚生労働省
- 申請方法
- オンライン・郵送併用
詳細解説
本記事にはプロモーションを含みます。
キャリアアップ助成金は、パート・契約社員・派遣などの非正規雇用の人を正社員にしたり、賃金や賞与の制度を整えたりした会社に、厚生労働省が出す助成金です。正社員化コース(厚生労働省のリーフレットによると年間約10万人が正社員化)は、中小企業が有期契約の人を正社員にすると1人80万円(雇入れから3年以上などの「重点支援対象者」の場合。40万円ずつ2回に分けて申請)。ただし、有期契約の通算が5年を超えている人や、正社員にした後に試用期間を置いた人は「無期→正規」として扱われ、同じ人でも20万円〜40万円に下がります。
令和8年度は4月8日に「情報公表加算」(1事業所20万円)が加わり、社会保険適用時処遇改善コースは令和7年度末で廃止されました。ここでは、令和8年4月8日付けの支給要領・パンフレットと7月29日改訂のQ&Aをもとに、受給額と申請できる日が変わる規則を会社の事例で並べました。
| 項目 | 令和8年度のキャリアアップ助成金(正社員化コース中心) |
|---|---|
| もらえる会社 | 雇用保険の適用事業所で、キャリアアップ管理者を置き、キャリアアップ計画を労働局に出した事業主(NPO法人・医療法人・社会福祉法人も含む) |
| いくら(正社員化) | 1人80万円(中小企業・有期→正規・重点支援対象者)〜15万円(大企業・無期→正規・重点支援対象者以外)。1年度1事業所20人まで |
| 加算(1事業所1回) | 正社員転換制度を新設しその制度で転換20万円/多様な正社員制度を新設しその区分に転換40万円/情報公表20万円(大企業は15万・30万・15万円) |
| いつまでに何を | 転換日の前日までにキャリアアップ計画を提出。転換後6か月分の賃金を払った日の翌日から2か月以内に支給申請 |
| 出し方 | 都道府県労働局・ハローワークの窓口、郵送、電子申請(雇用関係助成金ポータル) |
キャリアアップ助成金はいくら?令和8年度の6コースと1人あたりの額
令和8年度のコースは6つです。会社が何をしたかでコースが決まり、額は中小企業か大企業かで変わります(大企業の額は、正社員化コースなどは中小企業の4分の3、賃金規定等改定コースは約3分の2)。
| コース | 何をしたら | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|---|
| 正社員化 | 有期・無期の非正規雇用の人を正社員(多様な正社員を含む)に転換、または派遣労働者を直接雇用 | 1人20万〜80万円 | 1人15万〜60万円 |
| 障害者正社員化 | 障害のある有期・無期の人を正規雇用などに転換 | 1人45万〜120万円 | 1人33万〜90万円 |
| 賃金規定等改定 | 有期・無期の人の基本給の賃金規定を3%以上引き上げて適用 | 1人4万〜7万円(1年度100人まで) | 1人2.6万〜4.6万円 |
| 賃金規定等共通化 | 正社員と共通の賃金規定を新たに作り、すべての有期・無期の人に適用 | 1事業所60万円 | 1事業所45万円 |
| 賞与・退職金制度導入 | すべての有期・無期の人に賞与か退職金の制度を新設し、支給・積立てを実施 | 40万円(両方同時なら56万8,000円) | 30万円(同時なら42万6,000円) |
| 短時間労働者労働時間延長支援 | 短時間労働者の所定労働時間を延ばすなどして、新たに社会保険に加入させた | 1人40万円+2年目20万円(小規模企業は50万円+25万円) | 1人30万円+2年目15万円 |
障害者正社員化コースの最高額は、重度の身体障害・重度の知的障害・精神障害のある人を有期から正規雇用に転換した場合です。重度等以外の人を無期から正規雇用にした場合は中小企業45万円・大企業33万円まで下がります。詳しい要件は障害者正社員化コースの解説にまとめています。
正社員化コースの額は「転換前の契約」と「重点支援対象者か」の2つで決まる
| 転換前の契約 | 重点支援対象者か | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|---|
| 有期(契約期間の定めあり) | 当たる | 80万円(40万円×2期) | 60万円(30万円×2期) |
| 有期(契約期間の定めあり) | 当たらない | 40万円(1期のみ) | 30万円(1期のみ) |
| 無期(契約期間の定めなし) | 当たる | 40万円(20万円×2期) | 30万円(15万円×2期) |
| 無期(契約期間の定めなし) | 当たらない | 20万円(1期のみ) | 15万円(1期のみ) |
重点支援対象者は次のどれかに当たる人です。a 雇入れから3年以上の有期契約の人。b 雇入れから3年未満の有期契約の人で、過去5年間に正社員だった期間が合計1年以下、かつ過去1年間に正社員として雇われていない人(過去1年間に正社員だった人でも、事業主都合や正当な理由のある自己都合退職などで離職した場合は当たる。新規学卒者は除く)。c 派遣労働者(派遣先が正社員として直接雇用する場合)、母子家庭の母等・父子家庭の父、人材開発支援助成金の特定の訓練(人材育成支援・事業展開等リスキリング支援・人への投資促進の各コース)を修了した人(その訓練について事業主が人材開発支援助成金の支給を受けていることが要件)。aとbは「有期契約の人」であることが前提で、cは転換前の契約を問いません。この違いが、次の節の計算と、後で出てくる「無期扱い」の影響を分けます。
加算は1事業所につき1回ずつで、正社員転換制度を就業規則に新たに設けてその制度で転換した場合20万円、勤務地限定・職務限定・短時間正社員のいずれかの制度を新たに設けてその区分に転換した場合40万円、転換の実績などを自社サイトか厚生労働省の「しょくばらぼ」に公表した場合20万円です(大企業は15万・30万・15万円)。3つそろえば中小企業で80万円が上乗せされます。
短時間労働者労働時間延長支援コース(令和8年度)パートの労働時間を延ばして社会保険に入れたときの1人最大75万円の条件
雇用・人材育成の助成金まとめ2026キャリアアップ助成金と人材開発支援・両立支援などの使い分け
国のキャリアアップ助成金とは別に、東京都内の事業所なら、都が独自に行う東京都の正社員化支援助成金もあります。人材開発支援助成金の訓練を修了した人を正社員にすると重点支援対象者になるので、訓練から計画する会社は事業展開等リスキリング支援コースの要件も並べて読むと組み立てやすくなります。ほかに使える助成金を業種と規模から探すなら、補助金診断で候補を出せます。
うちの会社はいくら?人数と雇用形態から正社員化コースの受給額を出す
額の表だけで計算すると、無期扱いへの読み替えを見落としがちです。支給要領(1003イ)は、雇用契約書が有期でも、次のどれかに当たる人の転換前を無期として扱います。有期契約の通算が5年を超えている、転換日の前日から過去3年以内に同じ事業所で無期雇用として6か月以上雇われたことがある、有期の人の就業規則に契約期間の定めが無い、転換後に試用期間を置く、特定の助成金(中途採用等支援助成金〔生涯現役起業支援コース〕・特定求職者雇用開発助成金〔就職氷河期世代安定雇用実現コース・中高年層安定雇用支援コースを除く〕・地域雇用開発助成金〔地域雇用開発コース・沖縄若年者雇用促進コース〕・人材確保等支援助成金〔人事評価改善等助成コース・雇用管理制度・雇用環境整備助成コース〕)の支給対象になった人です。下の計算では、このどれかに当たると「無期→正規」の額に切り替え、重点支援対象者a・b(有期であることが前提)も外します。a・bを外すと明記があるのは通算5年超の場合(Q&A ①-2 Q-13)だけで、ほかの事情、特に試用期間で外すのは、転換前を無期とみなす規定からの推測です。該当する人がいる場合は、計画届の段階で管轄の労働局に確かめておく点です。派遣・母子家庭の母等などのcは、無期扱いでも重点支援対象者に当たり得る(2期制が残る)とされています。
人によって条件が違うときは、条件ごとに分けて計算して足してください。加算は1事業所1回なので、2回目の計算では0を選びます。正社員化の上限20人は1年度・1事業所あたりで、同じ人の2回目の申請は数えません。
80万円が20万円・40万円に下がるのはどんなとき?受給額と申請日がずれる8つの読み違え
令和8年度の支給要領(4月8日付け)・パンフレット・Q&A(7月29日改訂)で、受給額か申請できる日が変わる規則のうち、主な8つです。
対象者・対象事業
対象地域(全国)
- 目的
- 人材育成・雇用
- 対象地域
- 全国
- 対象者
- 有期雇用労働者・短時間労働者・派遣労働者などの非正規雇用労働者を正社員化・処遇改善する事業主(中小企業・大企業)
- 補助上限
- 正社員化コース1人80万円(中小企業・有期→正規・重点支援対象者)+事業所加算80万円
- 申請の手間
- 中級(5段階中2)
詳細条件・対象自治体は公募要領をご確認ください。
| 読み違え | 令和8年度の規則(出典) | 受給額・日付への影響 |
|---|---|---|
| 1. 雇入れから3年以上の有期なら重点支援対象者 | 有期契約の通算が5年を超える人は無期とみなし、重点支援対象者のa(雇入れ3年以上の有期)にも当たらない。6か月以上の空白をはさむ前の契約と、昼間学生だった期間は通算しない(パンフレットp14・p17、Q&A ①-2 Q-13) | 中小企業で80万円→20万円(cに当たらない場合)。cに当たれば40万円 |
| 2. 正社員にしてから試用期間を置いても転換日は同じ | 試用期間中は正社員と見なさず「無期→正規」として審査。転換日は試用期間終了日の翌日に読み替え、3%の賃上げもその日の前後6か月で比べる(パンフレットp18、Q&A ①-1 Q-22、支給要領1004) | cの人でも80万円→40万円。申請期間は試用期間の長さだけ後ろへ。a・bの人の扱いはQ&Aに直接の記載なし |
| 3. 雇用契約書が有期なら有期の額 | 有期の人に適用する就業規則に契約期間の定めが無いと、雇用契約書が有期でも転換前は無期とみなす(パンフレットp17※4、Q&A ①-1 Q-13) | 有期→正規の80万円・40万円ではなく、無期→正規の40万円・20万円 |
| 4. 契約社員の就業規則を作ればすぐ転換できる | 正社員と賃金の額か計算方法が違う就業規則の適用を通算6か月以上受けていることが必要。令和8年6月1日に就業規則を作り、3月1日入社の人を10月1日に転換した例は対象外(Q&A ①-1 Q-16) | 0円(支給対象外) |
| 5. 月の途中で転換しても6か月後に申請できる | 転換日が賃金締切日の翌日でないと、支給対象期は「最初の賃金締切日後6か月」。勤務日数11日未満の月は数えない(支給要領1004) | 月末締めで11月15日に転換すると、第1期は12月1日〜翌年5月31日で、12月1日に転換した場合と同じ。11月1日に転換するより1か月遅くなる(11月後半の分は数えない) |
| 6. 申請期間は給料日の翌日から2か月 | 残業代を基本給と別に翌月払いにしている会社は、6か月分の時間外手当を払った日が起点(支給要領1006)。末日が役所の休日なら翌日まで | 起点が残業代の支払いの分(翌月払いなら約1か月)後ろへずれる |
| 7. 選択制の企業年金の掛金も賃金に入る | 令和8年10月1日以降の転換は、企業型確定拠出年金(選択型)の掛金運用額を3%の賃金計算に入れない。9月30日までの転換は従来の扱い(Q&A ①-4 Q-6) | 掛金込みでやっと3%に届く計画は、届かず不支給になり得る |
| 8. 転換の情報を公表すれば20万円 | 令和8年4月8日以降に転換した人の申請が対象で1事業所1回。求人サイトの企業ページは公表場所として不可。転換制度の概要・直近3事業年度の転換人数・入社から転換までの平均と最短の期間がすべて要る(パンフレットp33〜35) | 1つでも欠けると加算は0円(大企業は15万円の加算が0円) |
公式資料で読み違えやすい点
受給額と申請日がずれる8つの読み違えのうち、1〜3は「転換前は無期だった」とみなされる規則で、支給要領(1003イ)にはほかに2つあります。転換日の前日から過去3年以内に同じ事業所で無期雇用として6か月以上雇われたことがある人と、中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース)・特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース・中高年層安定雇用支援コースを除く)・地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース・沖縄若年者雇用促進コース)・人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース・雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)の支給対象になった人です。額の表の「有期」の行は、雇用契約書の書き方ではなく、主に就業規則の契約期間の定め・通算期間・過去の無期雇用・試用期間・ほかの助成金の受給歴で決まります。また、第1期で不支給になると同じ人の第2期は申請できません(支給要領1006)。2期制の人は、第1期の書類で落ちると80万円のうち40万円だけでなく全額を失います。
新規学卒者にも別の線があります。新規学卒者(学校などを新たに卒業しようとする人と、卒業年度の3月31日までに内定を得た人)は、雇入れから1年を経過するまで対象外です(令和8年4月1日入社なら令和9年3月31日まで)。3月に卒業した後、4月以降に就職先が決まって5月に入社した人などは、この線にかからず対象になり得ます。新規学卒者も1年を過ぎれば対象になり得ますが、重点支援対象者のb(3年未満の有期)には当たりません(Q&A ①-2 Q-3)。
4つの会社で見ると、受給額と申請できる日はこう変わる
令和8年4月8日付けの支給要領・パンフレットの規則で、架空の4社の受給額と申請期間を出しました。どの例も、3%以上の賃上げ、正社員と違う就業規則の6か月以上の適用、キャリアアップ計画の事前提出など、ほかの要件は満たしている前提です。申請期間の末日はすべて平日になる支払日を選んでいます。
例1 金属加工会社(従業員40人):3年4か月の有期パートを転換し、加算2つで120万円
従業員40人の金属加工会社(その他の業種で常時雇用300人以下のため中小企業)が、雇入れから3年4か月たつ有期契約の42歳のパートの女性を2026年12月1日に正社員へ転換。重点支援対象者のaに当たるので1人80万円(40万円×2期)です。就業規則に正社員転換制度を新たに設けてその制度で転換し(20万円)、自社サイトに転換制度の概要と直近3事業年度の転換人数・期間を公表すれば(20万円)、合計120万円。転換制度の加算は1回目の申請に、情報公表加算は1回目か2回目の申請に乗ります。
この会社は月末締め・翌月10日払い。第1期は2026年12月〜2027年5月分の賃金で、5月分を払う2027年6月10日(木)の翌日から、申請期間は2027年6月11日(金)〜8月10日(火)です。第2期は2027年6月〜11月分で、2027年12月11日(土)〜2028年2月10日(木)。転換から1回目の申請まで半年あまりかかり、支給決定までの期間の目安は公式資料に書かれていません。
例2 雑貨店(従業員30人):通算5年5か月の有期パートは20万円の1回だけ
従業員30人の雑貨店(小売業で常時雇用50人以下のため中小企業)が、1年契約を更新して通算5年5か月になる35歳のパートの男性を2027年1月1日に正社員化。雇入れ3年以上だから80万円と読みがちですが、通算5年を超える有期は無期とみなされ、重点支援対象者のaにも当たりません。派遣・母子家庭の母等などのcにも当たらないので「無期→正規・重点支援対象者以外」の20万円(1期のみ)です。月末締め・翌月15日払いなら、申請期間は2027年7月16日(金)〜9月15日(水)の1回だけ。もし4年目のうちに転換していれば、同じ人で80万円でした。
例3 訪問介護事業所(従業員12人):試用期間3か月で80万円が40万円に、申請も3か月遅れる
従業員12人の訪問介護事業所(サービス業で常時雇用100人以下のため中小企業)が、雇入れから1年2か月の有期契約で働く28歳のパートの女性を2026年12月1日に正社員にし、3か月の試用期間を置いた場合。女性は小学生の子を育てるひとり親で、母子家庭の母等(重点支援対象者のc)に当たります。試用期間中は正社員と見なされないため、転換日は2027年3月1日に読み替えられ、審査は「無期→正規」で行われます。cなので2期制は残りますが、額は40万円(20万円×2期)。試用期間を置かなければ80万円でした。
月末締め・翌月10日払いで、第1期の申請期間は2027年9月11日(土)〜11月10日(水)(試用期間が無ければ2027年6月11日〜8月10日)、第2期は2028年3月11日(土)〜5月10日(水)です。3%の賃上げも、2027年3月からの6か月と、その前の6か月(試用期間の3か月を含む)で比べるため、試用期間中から正社員の給与を払っていると3%に届きにくくなります。
例4 弁当店(従業員18人):週24時間のパートを週30時間にして社会保険へ、2年で75万円
従業員18人の弁当店(常時雇用する労働者の数が30人を常態として超えないため小規模企業)が、2026年5月から週24時間で働く52歳のパートの女性の所定労働時間を週30時間に延ばし、2027年4月1日に社会保険に加入させた場合は、正社員化ではなく短時間労働者労働時間延長支援コースです。週5時間以上の延長は賃上げの要件が無く、1年目は50万円。2年目に基本給をさらに5%以上上げれば25万円が加わり、合計75万円です。キャリアアップ計画書は加入日の前日の2027年3月31日(水)までに出し、同じ人の同じ期間の賃上げを賃金規定等改定コースで重ねて申請することはできません。
4つの会社の受給額と申請期間(令和8年4月8日付けの規則で計算)
| 会社 | 人と転換・取組 | 受給額 | 1回目の申請期間 |
|---|---|---|---|
| 金属加工会社・40人(中小) | 雇入れ3年4か月の有期の42歳のパートの女性を2026年12月1日に正社員へ | 120万円(80万円+加算40万円) | 2027年6月11日〜8月10日(火) |
| 雑貨店・30人(中小) | 通算5年5か月の有期の35歳のパートの男性を2027年1月1日に正社員へ(無期扱い) | 20万円(1期のみ) | 2027年7月16日〜9月15日(水) |
| 訪問介護事業所・12人(中小) | 母子家庭の母等の28歳のパートの女性を2026年12月1日に転換、試用期間3か月 | 40万円(20万円×2期) | 2027年9月11日〜11月10日(水) |
| 弁当店・18人(小規模) | 週24時間の52歳のパートの女性を週30時間にし2027年4月1日に社会保険へ | 75万円(1年目50万円+2年目25万円) | 取組後6か月分の賃金を払った翌日から2か月 |
誰がもらえる?会社の条件と、正社員にする人の条件
会社側は、雇用保険の適用事業所ごとにキャリアアップ管理者を置き、キャリアアップ計画を作って管轄の労働局長に出し、対象の人の労働条件・勤務状況・賃金の支払い状況が分かる書類をそろえていることが条件です。民間企業のほか、公益法人・NPO法人・医療法人・社会福祉法人も含まれます。一方、前年度より前の労働保険料を納めていない、申請日の前日から過去1年間に労働関係法令の違反がある、性風俗関連営業などを行う、倒産している、といった事業主は受けられません。
中小企業か大企業かは、支給申請の時点の資本金か常時雇用する労働者の数のどちらかで判定します。
| 業種 | 資本金・出資の総額 | 常時雇用する労働者の数 |
|---|---|---|
| 小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
短時間労働者労働時間延長支援コースだけは、さらに「常時雇用する労働者の数が30人を常態として超えない」小規模企業の区分があり、額が上がります。
正社員化コースで転換する人は、主に次の条件を満たす必要があります。
- 正社員と賃金の額か計算方法が違う雇用区分の就業規則の適用を、通算6か月以上受けている有期・無期の人(派遣労働者は同じ組織単位で6か月以上働いている人)
- 正社員として雇う約束で雇い入れた人ではない(正社員求人に応募し、試用期間として有期契約を結んだ人は理由を確かめられる場合がある)
- 転換日の前日から過去3年以内に、その会社や関連会社で正社員・役員だった人や、請負・委任の関係にあった人ではない
- 事業主や取締役の3親等以内の親族ではない
- 新規学卒者は雇入れから1年を過ぎている
- 転換後に定年制があるなら、定年まで1年以上ある
転換先の「正社員」にも定義があります。期間の定めがなく、正社員の就業規則が適用され、「賞与または退職金の制度」と「昇給」の両方が転換の時点で適用されていることが必要です。パンフレットは、「賞与は支給しない。ただし、業績によっては支給することがある。」という規定を対象外の例に挙げています。逆に「賞与は原則として支給する。ただし、業績によっては支給しないことがある。」という記載だけで不支給にはならない、という説明もあります。
いつまでに何を出す?計画書は転換日の前日まで、申請は賃金を払った翌日から2か月
制度全体の締切日はパンフレットに書かれておらず、期限は1人ごとに決まります。最初の期限はキャリアアップ計画の提出で、正社員化なら転換日の前日、短時間労働者労働時間延長支援コースなら社会保険の加入日の前日までです。計画は労働組合などの意見を聴いて作ります。
- 事業所ごとにキャリアアップ管理者を決め、キャリアアップ計画を作って管轄の労働局に出す(転換日の前日まで)
- 就業規則に正社員への転換制度を規定する(無い場合。新たに設けてその制度で転換すると20万円の加算)
- 就業規則にもとづいて正社員に転換する(試用期間は置かない方が額も日付も変わらない)
- 転換後6か月分の賃金を払う(転換前6か月より3%以上多いこと。原則は1時間あたりの賃金で比べ、所定労働時間が同じで前後とも月給なら6か月の総額で比べる)
- 6か月分の賃金を払った日の翌日から2か月以内に支給申請する(窓口・郵送・電子申請)。重点支援対象者はさらに6か月後に第2期を申請
申請期間の末日が土日・祝日など役所の休日に当たるときは、その翌日が末日になります。電子申請は雇用関係助成金ポータルから出せます。
令和8年度に変わったことは?情報公表加算・社保コースの廃止・10月からの賃金の数え方
Q&Aは、令和8年4月1日から「支給要件や支給額に大きな変更はありません」としたうえで、次の3つを挙げています。額の表は令和7年度とほぼ同じなので、古い記事の金額がそのまま合っていることもありますが、日付の条件は令和8年度の版でしか分かりません。
| いつから | 何が変わった | 影響する会社 |
|---|---|---|
| 令和8年4月1日 | 社会保険適用時処遇改善コースを令和7年度末で廃止。令和8年度以降に社会保険に加入させた人は対象外 | パートを社会保険に入れる会社(短時間労働者労働時間延長支援コースへ)。旧コースの計画届を出し済みなら、短時間労働者労働時間延長支援コースの計画届・変更届は不要 |
| 令和8年4月8日 | 正社員化コースに情報公表加算(1事業所20万円・大企業15万円)を新設。4月8日以降の転換が対象 | 正社員転換の制度と実績を自社サイトかしょくばらぼに出せる会社 |
| 令和8年10月1日 | 3%の賃上げの計算で、企業型確定拠出年金(選択型)の掛金運用額を賃金に含めない扱いに変更(9月30日までの転換は従来どおり) | 選択制の企業年金・生涯設計手当がある会社 |
しょくばらぼに載せる場合は、企業利用者の登録の審査に3日程度、情報の入力の審査に5日程度かかるとパンフレットにあります。支給申請日までに公表が済んでいる必要があるので、申請期間の初日から逆算して準備します。
2026年10月から変わること一覧社会保険の壁の撤廃・最低賃金など、10月の改正をまとめて確認
パートを社会保険に入れるなら:短時間労働者労働時間延長支援コース
社会保険適用時処遇改善コースの後を受けるのがこのコースです。社会保険の加入日の6か月前の日以前から続けて雇っていて、過去2年以内にその事業所で社会保険に入っていなかった短時間労働者について、週の所定労働時間を延ばし(必要に応じて賃金も上げ)、新たに社会保険に加入させると、1人あたり次の額が出ます。
| 1年目の取組 | 小規模企業 | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|---|
| 週5時間以上延長 | 50万円 | 40万円 | 30万円 |
| 週4時間以上5時間未満延長+賃金5%以上増 | 50万円 | 40万円 | 30万円 |
| 週3時間以上4時間未満延長+賃金10%以上増 | 50万円 | 40万円 | 30万円 |
| 週2時間以上3時間未満延長+賃金15%以上増 | 50万円 | 40万円 | 30万円 |
| 2年目:さらに週2時間以上延長、または基本給をさらに5%以上増・昇給・賞与・退職金制度の適用 | 25万円 | 20万円 | 15万円 |
小規模企業は、常時雇用する労働者の数が30人を常態として超えない事業主です。このコースは支給要領で「当分の間の暫定措置」とされています。支給実績は、コース創設からの累計(令和8年3月末時点・速報値。支給決定の件数などは5月末の集計)で3,550件・8,975人・32.3億円です。社会保険適用時処遇改善コースから切り替えた分も含みます。パート本人が年収の壁を気にして労働時間を延ばすか迷っているなら、本人側の手取りの考え方を年収の壁2026年版の解説で、2026年10月からの加入要件の変更を社会保険106万円の壁撤廃で押さえてから延長時間を決めると、1年目の区分(5時間以上か、賃上げとの組み合わせか)を選びやすくなります。申請書類と2年目の取組は短時間労働者労働時間延長支援コースの記事にあります。
不正受給と判断されるとどうなる?
不正に受け取ると、全額返還に加えて延滞金と「不正受給した額の2割に相当する額」を納め、決定日から5年間はほかの雇用関係助成金も受けられません。代理人に任せた申請でも事業主が処分の対象です。
最終更新:2026年10月11日(令和8年4月8日付け支給要領・令和8年7月29日改訂Q&Aで確認)
出典
- 厚生労働省「キャリアアップ助成金」(新しいタブで開きます)
- キャリアアップ助成金支給要領(令和8年4月8日付け) PDF(新しいタブで開きます)
- キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)パンフレット(令和8年4月8日現在) PDF(新しいタブで開きます)
- キャリアアップ助成金Q&A(令和8年版・令和8年7月29日) PDF(新しいタブで開きます)
- キャリアアップ助成金(正社員化コース)のご案内(リーフレット・令和8年4月8日版) PDF(新しいタブで開きます)
- 短時間労働者労働時間延長支援コースのご案内(パンフレット・令和8年4月1日版) PDF(新しいタブで開きます)
- 短時間労働者労働時間延長支援コースの支給実績(令和8年3月末時点) PDF(新しいタブで開きます)
提出方法を選ぶ
オンラインで申請できます。必要な電子証明書・アカウントは公式案内をご確認ください。
申請書を郵送で提出します。宛先・締切(必着/消印有効)は公式案内をご確認ください。
※ 制度の所管:厚生労働省。提出先(窓口)と最新の受付方法は公式資料でご確認ください。
補助金の概要
| 公募期間 | 通年(各コース実施日の前日までにキャリアアップ計画を提出。正社員化の支給申請は転換後6か月分の賃金を支払った日の翌日から2か月以内) 常時受付 / 要確認 |
|---|---|
| 実施機関 | 厚生労働省 |
| 主要スケジュール |
|
| 申請方法 | オンライン・郵送併用 公式申請ページへ (新しいタブで開きます) |
| 公募要領 |
この補助金のまとめ
- 補助上限:正社員化コース1人80万円(中小企業・有期→正規・重点支援対象者)+事業所加算80万円
- 実施機関:厚生労働省
- 申請方法:オンライン・郵送併用
編集・監修: 中澤圭志(中小企業診断士)
一次情報を確認する編集体制(編集方針・検証方法 | 掲載情報について連絡する)
本記事は一般的な情報提供を目的としています。補助額・対象要件・募集状況は変更される場合があるため、申請前に必ず各実施機関の公募要領・公式情報をご確認ください。
