令和8年(2026年)4月から、健康保険料とあわせて給与から「子ども・子育て支援金」が控除されます。令和8年度の支援金率は0.23%(労使折半)で、被保険者の実際の天引き額は標準報酬月額×0.115%。標準報酬月額30万円なら月額345円の負担増です。賞与からも同率で徴収されます。育児休業・産前産後休業中は免除。給与計算担当者が押さえるべき計算式・賞与の扱い・明細表示・育休ルールを本記事で完全解説します。
| 支援金率(令和8年度) | 0.23%(労使折半で本人負担0.115%) |
|---|---|
| 天引き開始 | 翌月徴収の場合:2026年5月支給の給与から |
| 賞与への適用 | あり(標準賞与額×0.23%) |
| 育休・産休中 | 社会保険料免除期間は支援金も免除 |
| 給与明細表示 | 健康保険料と区別して記載を推奨(義務ではない) |
| 所管 | こども家庭庁・全国健康保険協会(協会けんぽ) |
子ども・子育て支援金とは

「子ども・子育て支援金制度」は、こども未来戦略「加速化プラン」の財源確保を目的として令和8年(2026年)4月から開始された制度です。被用者保険(協会けんぽ・健保組合・共済組合)の加入者を対象に、医療保険料と一体で徴収されます。徴収された支援金はこどもの育ちを支える各種施策(保育所の拡充・育休給付の充実など)に充てられます。
支援金は「子ども・子育て支援法」に基づく拠出であり、従業員の申請・手続きは一切不要です。給与計算担当者が対応すべきは、①控除計算の組み込み、②賞与計算への反映、③給与明細への表示、の3点です。

補助金のポイント

給与計算担当者が令和8年4月以降に押さえるべき実務ポイントを整理します。
- 料率は0.23%(令和8年度):標準報酬月額に乗じる支援金率は一律0.23%。翌年度以降は段階的に引き上げ予定(令和9年度0.35%、令和10年度0.47%)。
- 本人負担は半額の0.115%:労使折半のため、給与天引きは「標準報酬月額×0.115%」で計算します。
- 天引き開始月に注意:令和8年4月分保険料から徴収開始。翌月徴収の場合は5月支給の給与から控除。当月徴収の場合は4月支給の給与から。
- 賞与も対象:標準賞与額(賞与支払額の1,000円未満切捨て)×0.23%で計算し、本人負担は半額の0.115%。
- 育休・産休中は免除:産前産後休業・育児休業中に社会保険料免除を受けている期間は支援金も免除されます。

月額・賞与の支援金を試算する

標準報酬月額または標準賞与額を入力すると、令和8年度の支援金(被保険者負担分)が自動計算されます。
※令和8年度の被用者保険の支援金率0.23%(労使折半0.115%)で計算。1円未満切捨て。概算・目安として参照してください(令和8年度公募要領準拠)。
給与担当者の対応チェックリスト
令和8年4月以降の給与計算システム対応・従業員説明に必要な作業を確認してください。
賞与の計算方法と標準賞与額の求め方
賞与からも月額給与と同じ料率(0.23%、本人負担0.115%)で支援金が徴収されます。
計算手順
- 賞与支払額から1,000円未満を切り捨てて「標準賞与額」を算出
- 標準賞与額 × 0.23% = 支援金総額
- 本人控除額 = 支援金総額 ÷ 2(小数点以下切捨て)
計算例
賞与630,500円の場合:
- 標準賞与額:630,000円(1,000円未満の500円を切捨て)
- 支援金総額:630,000円 × 0.23% = 1,449円
- 本人控除額:1,449円 ÷ 2 = 724円(端数切捨て)
- 会社負担額:725円(残余)
なお2026年4月中に賞与を支払う場合、月額給与は翌月徴収(5月支給分から)であっても、4月支給の賞与は4月保険料として同月に徴収となります。

給与明細への表示方法
法令上、給与明細に支援金の内訳を記載する義務はありません。ただしこども家庭庁は「健康保険料と明確に区別して表示できるよう取り組むこと」を推奨しています。
推奨される表示パターン
- パターンA(区別表示):控除欄に「健康保険料」と「子ども・子育て支援金」を分けて記載
- パターンB(内訳表示):「健康保険料(うち支援金◯円)」のように括弧書きで内訳を明記
- パターンC(現状維持):既存の「健康保険料」欄に含めて表示(義務的対応は不要)
従業員から「給与明細の◯◯は何ですか」と問い合わせを受けた場合に備え、あらかじめ全従業員へ制度概要を周知しておくことをお勧めします。
育児休業・産前産後休業中の免除ルール
産前産後休業・育児休業期間中に健康保険料・厚生年金保険料の免除を受けている従業員については、子ども・子育て支援金も同様に免除されます。給与計算システムで「社会保険料免除フラグ」が設定されている従業員は、支援金も控除しないよう確認してください。


次回料率改定まで
令和8年度の支援金率0.23%は令和9年(2027年)4月に0.35%へ引き上げられる予定です。システム更新の準備を早めに進めてください。
給与担当者がやりがちな落とし穴5選と対策
- 落とし穴①:翌月徴収と当月徴収を混同して失敗
自社の保険料徴収方法を確認せずにシステム設定すると、天引き月がずれて差し戻しが発生します。
対策:4月の保険料控除スケジュールを協会けんぽ・健保組合に事前確認する。 - 落とし穴②:賞与計算で標準賞与額の端数処理を失敗
賞与支払額をそのまま乗率計算すると計算ミスが発生します。1,000円未満の切捨て処理が必須です。
対策:賞与計算ロジックに「floor(賞与/1000)*1000」の端数処理を組み込む。 - 落とし穴③:育休中の従業員に誤って控除して不採用(不採択)
社会保険料免除中の従業員に誤って支援金を控除するのはNG事例です。返金・修正処理が発生します。
対策:社会保険料免除フラグと支援金控除を連動させ、免除中は自動でスキップする設定にする。 - 落とし穴④:給与明細の表示項目を追加し忘れる注意点
「健康保険料」の中に黙って含めると従業員から問い合わせが殺到する注意点です。
対策:5月支給分の給与前に全従業員へ「4月から新控除項目あり」の通知を配布する。 - 落とし穴⑤:令和9年度の料率変更を見落として差し戻しになる失敗
0.23%で設定したまま2027年4月以降も同率で処理すると過少徴収となり、年度末に精算・差し戻しが必要になります。
対策:料率変更スケジュールをシステム手帳に登録し、令和9年3月に再確認作業を組み込む。
子ども・子育て支援金と関連制度の比較
子ども・子育て支援金と混同しやすい類似制度との違いを整理した比較表です。
| 項目 | 子ども・子育て支援金 | 子ども・子育て拠出金 | 育児休業給付金 |
|---|---|---|---|
| 徴収方法 | 健康保険料に上乗せ(労使折半) | 厚生年金保険料に上乗せ(全額事業主負担) | 雇用保険から支給(本人受取) |
| 令和8年度の率 | 0.23%(本人負担0.115%) | 0.36%(事業主のみ) | 育休開始180日以内:手取りの実質8割相当 |
| 育休中の扱い | 社会保険料免除期間は徴収なし | 休業中も事業主負担あり | 育休取得者に支給される給付 |
| 賞与への適用 | あり(標準賞与額×0.23%) | あり(標準賞与額×0.36%) | なし(賞与の代替ではない) |
| 担当窓口 | 協会けんぽ・各健保組合 | 日本年金機構 | ハローワーク |

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