会社が倒産したら社員が使える制度|未払賃金立替払2026

制度解説 人材育成・雇用

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会社の倒産により給料・退職金が未払いのまま離職した会社員

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会社の倒産により給料・退職金が未払いのまま離職した会社員

対象地域
全国
対象者
会社の倒産により給料・退職金が未払いのまま離職した会社員
確認した過去制度の金額
—
確認する時期
提出時期・提出先は所轄の税務署または勤務先の給与担当にご確認ください
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詳細解説

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結論から言うと、会社が倒産して給料や退職金が未払いのまま職を失った場合、未払いの給料・退職手当の8割相当(年齢別に上限あり)を国が肩代わりする「未払賃金立替払制度」と、雇用保険で給付制限なしに失業手当を受け取れる「特定受給資格者」の優遇が使えます。勤め先の倒産で離職し、給料・退職金・雇用保険がどうなるか分からない方に向けて、使える制度と、混同すると受け取れなくなる2つの異なる期限を整理しました。

この記事で分かること

  1. 未払いの給料・退職手当の8割を国が立て替える「未払賃金立替払制度」の対象範囲と年齢別の上限額
  2. 制度を使うために守るべき2つの異なる期限(労基署への認定申請と機構への立替払請求)
  3. 倒産による離職は雇用保険の給付制限がかからず、所定給付日数も優遇される仕組み
  4. 給料が支払われないときに労働基準監督署へ申告する方法
  5. 企業年金(DB・DC)が会社の倒産の影響を受けにくい理由

倒産で使える制度の全体像

会社の倒産にともなって使える主な制度は次の4つです。対象になる人・金額・期限をあわせて確認してください。

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制度対象になる人・金額期限の目安窓口
未払賃金立替払制度対象:未払いの給料・退職手当がある離職者。金額:未払額の8割(年齢別に上限あり。賞与は含まれない)認定申請は退職日の翌日から6か月以内、立替払請求は破産手続開始決定等の日の翌日から2年以内労働基準監督署→独立行政法人労働者健康安全機構
雇用保険(特定受給資格者)対象:倒産・解雇等による離職者。給付制限なしで失業手当を受給でき、所定給付日数も優遇される離職後すみやかにハローワークで求職の申込みハローワーク
賃金不払いの申告対象:給料が未払いのまま支払われない在職者・離職者。労働基準監督署が事業所へ是正勧告を行う場合がある随時労働基準監督署
企業年金(DB・DC)対象:企業年金の加入者。会社の財産と切り離されており、倒産の影響を受けにくい仕組みがある—企業年金連合会等
会社が倒産したら社員が使える制度の倒産で使える制度の全体像を整理した図解

一緒に確認したい手続き

健康保険の選択(任意継続か国民健康保険か)や国民年金の免除申請など、倒産に限らない一般的な離職後の手続きは離職後に使える制度まとめで詳しく解説しています。本記事では、倒産という状況特有の未払賃金・雇用保険の優遇・企業年金に絞って解説します。

会社が倒産したら給料はどうなる?未払い分は誰が払ってくれる?

未払いの給料は、会社に代わって国(独立行政法人労働者健康安全機構)が8割相当を立て替える「未払賃金立替払制度」で受け取れる可能性があります。対象になるのは、退職日の6か月前の日から機構への立替払請求日の前日までの間に支払期日が到来していて未払いとなっている「定期賃金」と「退職手当」です。未払い総額が2万円未満の場合は制度の対象になりません。また、賞与は支払期日到来の有無にかかわらず対象に含まれません。

賞与は対象に含まれないという注意点

立替払の対象は「定期賃金」と「退職手当」に限られます。賞与(ボーナス)は未払いであっても立替払の対象にはならない点に注意してください。

図解:会社が倒産したら給料はどうなる?未払い分は誰が払ってくれる?

未払賃金立替払制度の対象事業主と倒産の区分

対象になるのは「労災保険の適用事業で1年以上にわたって事業活動を行ってきた企業」です。倒産には2つの区分があります。1つは破産手続開始の決定・特別清算手続開始の命令・再生手続開始の決定・更生手続開始の決定のいずれかにあたる「法律上の倒産」、もう1つは中小企業事業主のみが対象で労働基準監督署長の認定が必要な「事実上の倒産」です。

未払賃金立替払には年齢によっていくら上限がある?

立替払を受けられる金額には、退職日における年齢に応じた上限があります。未払賃金総額の限度額とその8割にあたる立替払の上限額は次のとおりです。

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退職日における年齢未払賃金総額の限度額立替払の上限額(8割)
45歳以上370万円296万円
30歳以上45歳未満220万円176万円
30歳未満110万円88万円

実際に受け取れる金額は、未払賃金総額(賞与を除く定期賃金と退職手当の合計)と上の上限額のいずれか低い方の8割です。上限額そのものが支給されるわけではない点に注意してください。

確認対象・制度の位置づけ

対象地域(全国)

目的
人材育成・雇用
対象地域
全国
対象者
会社の倒産により給料・退職金が未払いのまま離職した会社員
確認した過去制度の金額
—

対象年度と制度の状態は一次情報をご確認ください。

退職金はどうなる?未払賃金立替払で退職手当も対象になる?

対象になります。立替払の対象賃金には「退職手当」が含まれるため、未払いのまま倒産した場合、退職金についても定期賃金とあわせて8割相当(年齢別の上限内)を立替払で受け取れる可能性があります。ただし、退職金の支払いルール自体は会社の就業規則・退職金規程によって決まるため、そもそも退職金制度がない、または算定額がゼロの場合は立替払の対象にもなりません。自分の退職金の算定根拠は、可能であれば在職中の就業規則や退職金規程で確認しておくと、未払額の見込みを把握しやすくなります。

図解:退職金はどうなる?未払賃金立替払で退職手当も対象になる?

未払賃金立替払制度、いつまでに何をすればいい?2つの期限を混同しない

この制度で最も見落としやすい落とし穴は、性質の異なる2つの期限を1つだと思い込んでしまうことです。順番に整理します。

  1. ①事実上の倒産の認定申請:中小企業の事実上の倒産に該当する場合、退職日の翌日から起算して6か月以内に、労働基準監督署長へ倒産の事実についての認定申請を行う必要があります。
  2. ②機構への立替払請求:法律上の倒産の場合は裁判所の破産手続開始等の決定日又は命令日の翌日から、事実上の倒産の場合は労働基準監督署長が倒産の認定をした日の翌日から、それぞれ起算して2年以内に、独立行政法人労働者健康安全機構へ立替払請求を行う必要があります(なお、この制度の対象者となるには別途「認定等の6か月前の日から2年の間に退職したこと」という対象者要件も満たす必要があります)。

最重要の注意点:①と②は別の期限です

①の「6か月以内」は事実上の倒産のときに労基署長へ認定を求める期限、②の「2年以内」は機構へ立替払そのものを請求する期限です。①を6か月以内に済ませていなければ、そもそも②の立替払請求の前提となる認定を受けられません。「2年以内に請求すればよい」とだけ覚えていると、事実上の倒産のケースで6か月の認定申請期限を過ぎてしまう落とし穴があるため、両方の期限を別々に管理してください。

請求先はいずれも、倒産した企業の本社を所轄する労働基準監督署が窓口になります。まずは所轄の労働基準監督署に相談し、法律上の倒産と事実上の倒産のどちらに該当するかを確認することが最初の一歩です。

会社の倒産で社員はどうなる?雇用保険の扱いは?

倒産により離職した場合、雇用保険では「特定受給資格者」(倒産・解雇等により再就職の準備をする時間的余裕がなく離職を余儀なくされた者)として扱われます。自己都合離職者には給付制限期間(離職日が令和7年4月1日以降は原則1か月)が課されますが、これは自己都合離職者向けの規定であり、倒産等による特定受給資格者には適用されません。つまり、給付制限なしで失業手当を受給できます。

被保険者期間の要件も優遇されており、離職日からさかのぼって1年間に被保険者期間が通算6か月以上あれば足ります(自己都合の場合は2年間に12か月以上という一般則より緩やかです)。

所定給付日数はどのくらい優遇される?

倒産・解雇等による離職者(特定受給資格者)の所定給付日数は、年齢と被保険者期間に応じて次のとおりです。

表が画面に収まらない場合は、横にスクロールして確認できます。
被保険者期間30歳未満30〜35歳未満35〜45歳未満45〜60歳未満60〜65歳未満
1年未満90日90日90日90日90日
1〜5年未満90日120日150日180日150日
5〜10年未満120日180日180日240日180日
10〜20年未満180日210日240日270日210日
20年以上―240日270日330日240日
解解説

離職票に記載される離職理由コードが倒産・解雇等に該当していれば特定受給資格者として扱われます。まずはハローワークで求職の申込みをして、離職理由コードを確認してください。

問質問

自己都合退職として扱われてしまい、給付制限がついてしまうこともありますか。

解解説

離職票の離職理由コードが実態と異なっている場合は、ハローワークの窓口で申し出て確認してもらうことができます。離職票の記載内容に疑問があるときは、そのままにせず窓口で相談してください。

図解:所定給付日数はどのくらい優遇される?

給料が支払われない、どこに相談すればいい?

労働基準法24条は「賃金は通貨で、全額を、毎月1回以上、一定の期日を定めて直接労働者に支払わなければなりません」と定めています。使用者側に賃金の請求をしても支払われない場合、勤め先を管轄する労働基準監督署に申告してください。労働基準監督署が調査を行い、事業所に対して賃金支払いを勧告することができます。賃金不払いは労働基準法違反であり、同法120条により30万円以下の罰金の対象になります。

なお、賃金請求権の消滅時効は2020年4月1日以降に支払われるべきだった分は3年、それより前の分は2年です。時効が完成する前に、証拠(給与明細・雇用契約書・タイムカード等)を保管したうえで労基署へ相談してください。

付加金請求という制度もある(詳細は専門家に確認を)

未払い賃金について、裁判所が未払い分と同一額の「付加金」の支払いを命じることができる制度もあります。ただし具体的な請求手続きや期限は個別の事情によって変わるため、本記事では制度があることの紹介にとどめます。実際に検討する場合は、弁護士や労働基準監督署など専門の窓口に確認してください。

企業年金はどうなる?倒産の影響を受ける?

結論としては、企業年金(確定給付企業年金・企業型確定拠出年金)は会社の財産や債務と切り離す仕組みが取られており、倒産の影響を受けにくい設計になっています。ただし、以下は企業年金連合会自体の一次情報ではなく専門家の解説記事の要約であるため、断定的な結論としてではなく仕組みの目安として確認してください。

確定給付企業年金(DB)は、事業主および事業主の債権者から法的に分離されていることや、積立超過分を除き事業主への返還・事業主からの解約・目的外の払出しなど事業主の受給者に対する詐害的行為が禁止されていることが要件とされています。企業型確定拠出年金(DC)は、加入者が拠出した掛金を個人ごとの口座で加入者自身が管理・運用する仕組みのため、会社の財務状況と個人の年金資産が切り離されているとされています。

また、企業年金連合会(厚生労働大臣認可法人)が中途脱退者や解散した基金の年金資産を引き継ぎ、一元的に年金給付を行う仕組みもあります。会社が倒産した場合の自分の企業年金の扱いについて詳しく知りたいときは、加入している企業年金制度の運営機関(企業年金基金や資産管理運用機関)に直接問い合わせることをおすすめします。

倒産直後にやるべきことの流れ

  1. 勤め先の倒産が法律上の倒産(破産・特別清算・再生・更生の各手続き開始)か、事実上の倒産かをまず確認する
  2. 事実上の倒産に該当する場合は、退職日の翌日から起算して6か月以内に所轄の労働基準監督署へ認定申請の相談をする
  3. ハローワークで求職の申込みをし、離職理由コードが倒産・解雇等(特定受給資格者)になっているか確認する
  4. 未払いの給料・退職手当の内訳と金額(賞与を除く)を給与明細等で確認する
  5. 破産手続開始決定等の日、または労基署長が倒産の認定をした日の翌日から2年以内に、独立行政法人労働者健康安全機構へ立替払請求を行う
  6. 賃金が支払われないまま倒産手続きが進まない、対応が遅い等の場合は、所轄の労働基準監督署に申告して相談する
  7. 企業年金に加入していた場合は、企業年金基金や資産管理運用機関に自分の年金資産の扱いを確認する

未払賃金立替払制度を利用できそうか確認する

ここまでの要件を踏まえて、自分が未払賃金立替払制度の対象になりそうかをチェックできます。

未払賃金立替払制度を利用できそうか確認するを整理した図解

見落としやすい落とし穴

  • 「立替払請求は2年以内」とだけ覚えていると、事実上の倒産で必要な「認定申請6か月以内」という別の期限を見落とす落とし穴があります。2つの期限は必ず分けて管理してください。
  • 賞与は未払いであっても立替払の対象には含まれないという注意点があります。定期賃金と退職手当だけが対象です。
  • 未払賃金総額が2万円未満の場合は制度そのものを利用できないという注意点もあります。
  • 離職理由コードが実態と異なっていると、特定受給資格者としての優遇(給付制限なし・所定給付日数の優遇)を受けられない可能性があります。離職票を受け取ったら記載内容を必ず確認してください。

よくある質問

Q1.未払いの残業代も未払賃金立替払制度の対象になりますか。

対象になります。制度上は「定期賃金」として扱われ、退職日の6か月前の日から立替払請求日の前日までに支払期日が到来していて未払いのものが対象です。ただし賞与は含まれません。

Q2.勤め先が倒産してからまだ1年未満ですが、未払賃金立替払制度は使えますか。

対象事業主の要件は「労災保険の適用事業で1年以上にわたって事業活動を行ってきた企業」であることです。勤め先が事業を始めてから1年に満たない場合は、この要件を満たさず利用できません。

Q3.事実上の倒産の認定申請の6か月以内に間に合わなかった場合、立替払を受けられませんか。

事実上の倒産の認定申請は退職日の翌日から起算して6か月以内に行う必要があるとされています。期限を過ぎた場合の扱いは個別の事情によって変わるため、まずは所轄の労働基準監督署に早めに相談してください。

Q4.倒産による離職なら、雇用保険の給付制限は一切かかりませんか。

倒産・解雇等による離職者は特定受給資格者として扱われ、自己都合離職者に課される給付制限(離職日が令和7年4月1日以降は原則1か月)は適用されません。ただし離職理由コードが正しく記録されていることが前提のため、離職票の内容を確認してください。

Q5.企業年金は倒産した会社の借金の返済に充てられてしまいますか。

確定給付企業年金・企業型確定拠出年金とも、会社の財産・債務から法的に分離する仕組みが取られているとされています。ただし本記事の内容は専門家解説記事の要約であり、個別の制度の扱いは加入先の企業年金基金や資産管理運用機関に確認することをおすすめします。

次にすること

未払賃金立替払制度や雇用保険の手続きにあわせて、他に使える可能性のある支援制度がないか確認したい場合は、補助金・給付金の診断ページから状況を入力して確認できます。

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最終更新:2026年9月30日

出典

制度情報の確認

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編集・監修: (中小企業診断士)

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本記事は公表資料の確認結果を整理したものです。新制度の決定を示すものではないため、最新の一次情報をご確認ください。