被保険者報酬月額変更届の書き方2026|随時改定と記入例
この制度の基本情報
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制度の基礎データ 公募期間・実施機関・申請方法・根拠資料 — 対象と金額は上の「この制度の基本情報」を参照
健康保険・厚生年金保険の適用事業所の事業主。昇給・降給等により固定的賃金が変動した被保険…
- 対象地域
- 全国
- 対象者
- 健康保険・厚生年金保険の適用事業所の事業主。昇給・降給等…
- 確認した過去制度の金額
- —
- 提出時期
- 提出先:日本年金機構(健康保険・厚生年金保険)
- 確認主体
- 日本年金機構(健康保険・厚生年金保険)
- 情報の確認方法
- 一次情報・公式発表を確認
- 必要書類
- 健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届/厚生…
- 確認主体:日本年金機構(健康保険・厚生年金保険)
詳細解説
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被保険者報酬月額変更届(月額変更届)は、昇給や降給で従業員の給与が大きく変わったときに、健康保険・厚生年金保険の標準報酬月額を年1回の定時決定を待たずに変える「随時改定」のための届出です。日本年金機構は随時改定の要件を3つ示しており、そのすべてに当てはまったときだけ提出します。逆に「基本給を上げたのに残業が減って平均は下がった」というケースは、2等級以上動いていても対象外です。この記事では、日本年金機構が公開している令和8年1月提出の公式記入例PDFと、標準報酬月額の事務取扱い事例集の原文から、①〜⑱の全18欄に何を書くのか、いつの給与から新しい保険料を引くのか、そして受付後に届書を返される原因は何かを、給与計算担当者が手を動かす順番どおりに整理します。あわせて、年1回の被保険者報酬月額算定基礎届(定時決定)との違いも表で示します。
随時改定と月額変更届の要点
この記事の結論(TL;DR)
1. 随時改定は「固定的賃金の変動」「3か月とも支払基礎日数17日以上(特定適用事業所の短時間労働者は11日以上)」「2等級以上の差」の3要件をすべて満たしたときだけ。
2. 改定月は変動後の賃金を初めて支払った月から起算して4か月目。令和7年10月に初めて支給されたなら改定年月は令和8年1月。
3. ⑮平均額は⑭総計÷対象月数を1円未満切り捨て。遡及支払額があるときは差し引いた額を⑯修正平均額に書く。
4. 標準報酬月額の上限・下限にまたがるときは1等級差でも随時改定になる。年間平均による随時改定も1等級以上の差で足りる。
5. 日本年金機構が不備事例として挙げているのは改定年月の記入漏れ。④が空欄や誤記だと届書が差し戻される。
被保険者報酬月額変更届は、どんなときに出すのですか?
昇給・降給などで固定的賃金が変わり、その月から3か月の報酬の平均で計算した標準報酬月額が従前と2等級以上ちがい、かつその3か月とも支払基礎日数が17日以上あるときに、事業主が速やかに提出します。提出先は事務センターまたは管轄の年金事務所で、電子申請・郵送・窓口持参のいずれでも受け付けられます。
日本年金機構の随時改定(月額変更届)のページは、次の3要件を示しています。要件は「どれかを満たせばよい」ではなく、すべて満たす必要があります。
| 要件 | 内容 | よくある誤解 | 根拠資料 |
|---|---|---|---|
| (1)固定的賃金の変動 | 昇給・降給、給与体系の変更、日給や時間給の基礎単価の変更、住宅手当・役付手当など固定的な手当の追加や支給額の変更 | 残業が増えた・減っただけでは該当しない。休職による休職給も該当しない | 日本年金機構「随時改定(月額変更届)」 |
| (2)2等級以上の差 | 変動月以後引き続く3か月の報酬の平均額から算出した標準報酬月額と、従前の標準報酬月額との差 | 健康保険と厚生年金保険で等級表が違うため、片方だけ2等級動くことがある | 同上(⑱備考に「5.健康保険のみ月額変更」欄あり) |
| (3)支払基礎日数17日以上 | 変動月以後引き続く3か月のすべての月が17日以上。特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日以上 | 1か月でも17日未満なら、その回は随時改定にならない | 日本年金機構「随時改定(月額変更届)」 |
| 方向の一致(留意事項) | 固定的賃金が上がったのに平均が下がった場合、下がったのに平均が上がった場合は対象外 | 2等級以上動いているので出してしまう誤りが多い | 同ページ「留意事項」 |
なお、支払基礎日数は給与計算の対象となる日数を指し、月給制や週給制は暦日数、日給制や時給制は出勤日数で数えます。月給者で欠勤控除をしている場合は、就業規則等で定められた日数から欠勤日数を除いて記入します。自社の従業員が随時改定に当たるかどうか迷ったら、条件から使える制度をしぼり込む診断で関連する手続きを洗い出してから、下の要件チェックで一つずつ潰していくのが確実です。
月変の判定と保険料の付け替えを手作業でやめたい担当者へ
向く人:社員10〜100名規模で専任の社労士がおらず、昇給月のたびに3か月分の給与台帳をエクセルで突き合わせて2等級差を数えている給与計算担当者。
向かない人:すでに社労士事務所へ月額変更届の作成まで委託していて、社内では賃金台帳の提供しかしていない会社。
クラウド会計と給与データを同じ場所に置くと、⑪通貨・⑫現物・⑧遡及支払額の内訳を毎月そろえた形で残せるため、改定月に3か月分をさかのぼって集計し直す手間が減ります。標準報酬月額が変わった翌月以降の保険料仕訳も、変更後の金額で引き継げます。
2等級差にならなくても月額変更届を出すのはどんなときですか?
標準報酬月額の上限または下限にまたがる等級変更のときは、1等級差でも随時改定の対象になります。日本年金機構は健康保険・厚生年金保険それぞれについて、次の境界を具体的な金額で示しています。
| 制度 | 区分 | 従前の標準報酬月額 | 報酬の平均月額 | 改定後 |
|---|---|---|---|---|
| 厚生年金保険 | 昇給 | 31等級・620千円 | 665千円以上 | 32等級・650千円 |
| 厚生年金保険 | 昇給 | 1等級・88千円で報酬月額83千円未満 | 93千円以上 | 2等級・98千円 |
| 厚生年金保険 | 降給 | 32等級・650千円で報酬月額665千円以上 | 635千円未満 | 31等級・620千円 |
| 厚生年金保険 | 降給 | 2等級・98千円 | 83千円未満 | 1等級・88千円 |
| 健康保険 | 昇給 | 49等級・1,330千円 | 1,415千円以上 | 50等級・1,390千円 |
| 健康保険 | 昇給 | 1等級・58千円で報酬月額53千円未満 | 63千円以上 | 2等級・68千円 |
| 健康保険 | 降給 | 50等級・1,390千円で報酬月額1,415千円以上 | 1,355千円未満 | 49等級・1,330千円 |
| 健康保険 | 降給 | 2等級・68千円 | 53千円未満 | 1等級・58千円 |
厚生年金保険の標準報酬月額の上限は、2026年度時点では32等級・65万円のままです。厚生労働省は令和7年の年金制度改正法によって上限を65万円から75万円へ引き上げると公表していますが、その時期は2027年9月に68万円、2028年9月に71万円、2029年9月に75万円という段階的な引上げです。2026年に提出する月額変更届では、上限は引き続き65万円で判定します。2026年10月から変わる制度の総まとめとあわせて、社内の給与規程の見直し時期を決めておくと手戻りがありません。
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①〜⑱の全18欄には何を書くのですか?
日本年金機構が公開している月額変更届の様式と記入例を実際に開いて数えると、被保険者ごとの記入欄は①から⑱までの18項目です。加えて用紙の上部に、届書提出日・事業所整理記号・事業所所在地・事業所名称・事業主氏名・電話番号と、社会保険労務士記載欄があります。
| 欄 | 項目名 | 記入内容 | つまずきやすい点 |
|---|---|---|---|
| ① | 被保険者整理番号 | 資格取得時に付番された番号 | ②氏名だけでは特定できないため必ず記入 |
| ② | 被保険者氏名 | 被保険者の氏名 | — |
| ③ | 生年月日 | 元号コード+年月日 | 元号コードの取り違え |
| ④ | 改定年月 | 変動後の賃金を支払った月から4か月目の年月 | 記入漏れが最も多い欄。空欄・誤記は差し戻し |
| ⑤ | 従前の標準報酬月額 | 現在の標準報酬月額を健・厚それぞれ千円単位で | 円単位で書いてしまう誤り |
| ⑥ | 従前改定月 | ⑤が適用された年月 | 直近の定時決定・随時改定の月を確認 |
| ⑦ | 昇(降)給 | 昇給または降給のあった月の支払月と、1.昇給/2.降給の区分 | 支払月であって計算月ではない |
| ⑧ | 遡及支払額 | 昇給差額が支給されたときの支払月と差額 | ⑪にも合算して書いたうえで、ここに内訳を書く |
| ⑨ | 給与支給月 | 変動後の賃金を支払った月から3か月 | 実際に支払いを行った月(計算月ではない) |
| ⑩ | 給与計算の基礎日数 | 月給者は暦日数、日給者は出勤日数 | 欠勤控除がある月給者は所定日数から欠勤日数を除く |
| ⑪ | 通貨によるものの額 | 通勤手当等を含む通貨支給分 | 銀行振込も通貨。通勤手当の除外は誤り |
| ⑫ | 現物によるものの額 | 食事・住宅・通勤定期券などを金銭換算した額 | 厚生労働大臣が定める現物給与の価額に基づく |
| ⑬ | 合計(⑪+⑫) | 各月の合計額 | ⑫が0円の月も⑬は記入する |
| ⑭ | 総計 | 支払基礎日数が17日以上の月の報酬の総計 | 17日未満の月を混ぜて足してしまう誤り |
| ⑮ | 平均額 | ⑭を対象月数で割った額。1円未満切り捨て | 四捨五入すると1円ずれる |
| ⑯ | 修正平均額 | 遡及支払額を差し引いた平均額、または年間平均額 | 遡及がないのに記入してしまう誤り |
| ⑰ | 個人番号[基礎年金番号] | 70歳以上被用者の場合のみ必ず記入 | 70歳未満の被保険者では不要 |
| ⑱ | 備考 | 1.70歳以上被用者月額変更/2.二以上勤務/3.短時間労働者(特定適用事業所等)/4.昇給・降給の理由/5.健康保険のみ月額変更/6.その他 | 年間平均は「6.その他」に〇をして“年間平均”と記入 |
⑱備考の内容は保険料の計算にも跳ね返ります。令和8年4月分(5月納付分)から健康保険料に全国一律0.23%の子ども・子育て支援金が加わるため、改定と重なる年は控除額の説明が複雑になります。上乗せ分の実務は子ども・子育て支援金の給与担当者ガイドに、従業員へ渡す説明資料の作り方は給与明細の見方にまとめています。判定に入る前に、自社と従業員が使える制度をまとめて把握しておきたい場合は診断からどうぞ。
確認対象・制度の位置づけ
対象地域(全国)
- 目的
- 中小企業支援
- 対象地域
- 全国
- 対象者
- 健康保険・厚生年金保険の適用事業所の事業主。昇給・降給等により固定的賃金が変動した被保険者および70歳以上被用者について提出します。
- 確認した過去制度の金額
- —
対象年度と制度の状態は一次情報をご確認ください。
⑨は「計算月」ではなく「支払月」
公式記入例の欄外には、⑨支給月は給与の対象となった計算月ではなく、実際に給与の支払いを行った月であるという注記が入っています。月末締め翌月払いの会社で、9月分の給与を10月に払っているなら、⑨に書くのは10月です。ここを計算月で書くと⑩の日数も⑦の支払月もまとめてずれます。
公式記入例の4人ぶんを検算するとどうなりますか?
日本年金機構の記入例PDFには、令和8年1月5日提出・令和8年1月改定の4人分が載っています。いずれも令和7年10月・11月・12月の3か月を集計しており、実際に電卓を入れると次のとおりです。
| 記入例 | ⑤従前 | 3か月の⑬合計 | ⑭総計 | ⑮平均額/⑯修正平均額 | ⑱昇降給の理由 |
|---|---|---|---|---|---|
| ①年金一郎(昇給) | 190千円 | 214,000/222,000/215,000 | 651,000円 | 217,000円(651,000÷3) | 基本額の変更 |
| ②健保三郎(昇給・⑧遡及18,000円) | 200千円 | 252,000/234,000/234,000 | 720,000円 | 平均240,000円/修正平均234,000円(遡及18,000円を差し引いて÷3) | 基本額の変更 |
| ③年金二郎(降給) | 360千円 | 312,000/305,000/332,000 | 949,000円 | 316,333円(949,000÷3=316,333.33を切り捨て) | 通勤手当額の変更 |
| ④年金花子(現物給与あり) | 160千円 | 177,580/180,980/183,780 | 542,340円 | 180,780円(各月の⑪に現物16,980円を足した⑬の合計÷3) | 基本額の変更 |
③が切り捨ての典型例です。949,000÷3=316,333.33…を四捨五入すると316,333円で偶然一致しますが、たとえば950,000÷3=316,666.66…なら切り捨てで316,666円、四捨五入だと316,667円になり、1円ずれた届書になります。⑮は必ず切り捨てで計算してください。④は現物給与の扱いを示した例で、食事や社宅を現物で支給しているなら⑫に金銭換算した額を入れ、⑪と足した⑬で集計します。
改定後に保険料はいくら変わりますか?
控除額は標準報酬月額に保険料率を掛けて2で割った額です。協会けんぽ東京支部の令和8年度健康保険料率9.85%(令和7年度の9.91%から引下げ。介護保険第2号被保険者に該当しない場合)と、厚生年金保険料率18.300%で、上の記入例を計算すると次のようになります。
| ケース | 従前→改定後の標準報酬月額(健保/厚年) | 健康保険(折半額) | 厚生年金保険(折半額) | 本人負担の月差 |
|---|---|---|---|---|
| ①年金一郎(昇給) | いずれも190,000円→220,000円 | 9,357.5円→10,835円 | 17,385円→20,130円 | +4,222.5円 |
| ②健保三郎(昇給) | いずれも200,000円→240,000円 | 9,850円→11,820円 | 18,300円→21,960円 | +5,630円 |
| ③年金二郎(降給) | いずれも360,000円→320,000円 | 17,730円→15,760円 | 32,940円→29,280円 | −5,630円 |
| 厚生年金の上限にまたがる昇給(3か月平均が報酬月額665,000円) | 健保 620,000円→680,000円/厚年 620,000円→650,000円 | 30,535円→33,490円 | 56,730円→59,475円 | +5,700円 |
4行目が、健康保険と厚生年金保険で上限が違うために起きるずれです。厚生年金保険の標準報酬月額は32等級・650,000円で打ち止めですが、健康保険には36等級・680,000円、37等級・710,000円と上が続きます。3か月平均が報酬月額665,000円になった人は、厚生年金保険では31等級から32等級への1等級差の特例で改定される一方、健康保険では650,000円等級の上限である665,000円以上なので680,000円等級へ2等級動きます。ここを両方とも650,000円で頭打ちだと思い込むと、健康保険料を月2,955円少なく控除してしまいます。
端数は、給与から控除する場合は50銭以下を切り捨て、50銭を超えるときは切り上げて1円とします。40歳から64歳までの介護保険第2号被保険者は健康保険料率に全国一律1.62%が加わり、さらに令和8年4月分(5月納付分)からは全国一律の子ども・子育て支援金0.23%が加わります。料率は都道府県ごとに違い、令和8年度は新潟県の9.21%が最も低く佐賀県の10.55%が最も高いので、自社の支部の値を協会けんぽの都道府県毎の保険料率で必ず確認してください。
10月の昇給で令和8年1月改定になりました。新しい保険料は1月の給与から引けばいいですか?
その会社が当月控除か翌月控除かで変わります。日本年金機構は、事業主は毎月の給与から前月分保険料を控除することができるとしています。翌月控除の会社なら令和8年1月分の保険料は2月支給の給与から新しい額になり、当月控除の会社なら1月支給分から変わります。自社の就業規則と過去の運用をそろえてください。
| ケース | どの月分の保険料を、いつの給与から引くか | 従業員への説明 | ありがちなずれ |
|---|---|---|---|
| 翌月控除(前月分を控除)の会社 | 令和8年1月分 → 令和8年2月支給の給与 | 改定月の翌月から手取りが変わる | 1月支給分から変えてしまい1か月早く引く |
| 当月控除の会社 | 令和8年1月分 → 令和8年1月支給の給与 | 改定月から手取りが変わる | 2月支給分から変えて1か月分の徴収漏れ |
| 月の途中で退職(翌月控除の場合) | 退職月の前月分のみ → 退職月の給与 | 最終給与で1か月分だけ控除 | 2か月分引いてしまう |
| 月末に退職(翌月控除の場合) | 前月分と退職月分の2か月分 → 退職月の給与 | 最終給与で2か月分を控除 | 1か月分しか引かず不足が出る |
月額変更届で差し戻し・記入誤りが多い落とし穴
日本年金機構は「届出に不備や記入誤りの多い事例の紹介(月額変更届)」というページを設けており、内容に不備や記入誤りがある場合は一度受付した届書をお返しすることがあると明記しています。差し戻しは事業主と担当者の手間になるので、提出前に次の点を潰してください。
差し戻しの筆頭は④改定年月の記入漏れ
同ページで紹介されている不備事例は改定年月の記入漏れです。④には固定的賃金の変動後の賃金が支給された月から4か月目の年月を書きます。公式の例示は「固定的賃金の変動後の賃金が令和7年10月に初めて支給された場合、改定年月は令和8年1月になります。」です。記入がない場合や誤った年月の場合は、届書の再提出が必要になります。
要件の判定そのものを誤って、対象でない人の届書を出してしまう失敗も少なくありません。標準報酬月額の事務取扱い事例集から、実務で判断を間違えやすいものを抜き出しました。
| 状況 | 随時改定の可否 | 理由 | 根拠資料 |
|---|---|---|---|
| 残業時間が増えて報酬が2等級上がった | 対象外 | 超過勤務手当は時間の増減だけでは固定的賃金の変動に当たらない | 事務取扱い事例集 随時改定 問2 |
| 超過勤務手当の支給単価(支給割合)を変えた | 対象 | 単価・割合の変更は固定的賃金の変動に当たる | 同 問2 |
| 非固定的手当を廃止した | 対象 | 廃止は賃金体系の変更に当たる | 同 問3 |
| 時給は据え置きで1日の契約時間を8時間から6.5時間に変えた | 対象 | 単価は同じでも契約時間の変更は固定的賃金の変動 | 同 問1-3 |
| 基本給を上げたが残業が減り平均は2等級下がった | 対象外 | 固定的賃金の増減と平均報酬月額の増減が一致しない | 同 問4/公式ページ「留意事項」 |
| 同額の手当を廃止して同額の手当を新設した | 対象外 | 固定的賃金の総額が変わっていない | 同 問5 |
| 減給制裁で基本給が下がった | 対象外 | 減給制裁は固定的賃金の変動に当たらない | 同 問11 |
| 変動の翌月に締め日を変え、支払基礎日数が17日未満の月ができた | 対象外 | 3か月のいずれかが17日未満だと該当しない。起算月をずらすこともできない | 同 問7 |
| 当月末締め翌月末払いで、当月15日から単価が上がった | 起算月がずれる | 昇給後の単価が1か月分そろった月が起算月。例では翌々月から3か月を数える | 同 問6 |
| 現物給与の標準価額が告示で改正された | 対象 | 告示改正による単価の変更は固定的賃金の変動 | 同 問12 |
| 産休中に通勤実績がないため通勤手当を支給しなかった | 対象外 | 手当自体が廃止されたわけではないので賃金体系の変更に当たらない | 同 問14 |
もうひとつのNG事例が、⑱備考欄の書き漏らしです。短時間労働者なら「3.短時間労働者(特定適用事業所等)」に〇をします。固定的賃金の変動があった月から改定月の前月までに一般と短時間労働者のあいだで区分が変わった場合は、備考欄に区分変更後の賃金が支払われた月と変更後の区分を、たとえば「6月 短時間」のように書き添える必要があります。ここが空欄だと、支払基礎日数の判定に使う基準(17日か11日か)が読み取れず、審査で止まる原因になります。雇用形態の変更を伴うケースでは雇用保険被保険者資格取得届側の届出も同時に見直しておくと安全です。
7月に随時改定が予定されている社員がいます。算定基礎届はどうすればいいですか?
7月改定の月額変更届を出す方と、8月または9月に随時改定が予定されている旨を申し出た方は、算定基礎届の提出が不要です。この場合は報酬月額欄を記入せず空欄にしたうえで、備考欄の「3.月額変更予定」に〇を付けて提出します。もし後から随時改定の要件に該当しないと分かったときは、速やかに算定基礎届を出し直してください。算定基礎届の書き方にこの分岐をまとめてあります。
年間平均による随時改定はどんなときに使えますか?
業務の繁閑が例年決まっていて、通常の3か月平均では実態からかけ離れた標準報酬月額になってしまう場合に使える保険者算定の特例です。ふつうの随時改定と違い、現在の標準報酬月額と年間平均額から算出した標準報酬月額の差は1等級以上あれば足ります。
| 比較する組み合わせ | 必要な差 | 補足 |
|---|---|---|
| 現在の標準報酬月額 と 通常の随時改定による標準報酬月額 | 2等級以上 | まず通常の月変に該当していることが前提 |
| 通常の随時改定による標準報酬月額 と 年間平均額から算出した標準報酬月額 | 2等級以上 | 3か月平均と年間平均が大きく乖離していること |
| 現在の標準報酬月額 と 年間平均額から算出した標準報酬月額 | 1等級以上 | ここだけ1等級で足りる |
| 前提条件 | — | 差も報酬月額の変動も業務の性質上例年発生する見込みで、被保険者が同意していること |
手続きは、月額変更届の⑱備考欄「6.その他」に〇をして“年間平均”と記入し、年間平均の額を⑯修正平均額に書きます。添付書類は(様式1)年間報酬の平均で算定することの申立書(随時改定用)と、(様式2)例年の状況、標準報酬月額の比較及び被保険者の同意等(随時改定用)の2点で、必要に応じて賃金台帳等の提出を求められることがあります。定期昇給とは別の単年度だけの特別な昇給、たまたま繁忙期と昇給時期が重なっただけの改定、転居に伴う通勤手当の支給による改定は対象外です。
定時決定(算定基礎届)とはどう違いますか?
定時決定は全被保険者について毎年決まった時期に出す届出、随時改定は要件に当たった人だけ随時出す届出です。支払基礎日数の扱いにも差があります。
| 比較項目 | 定時決定(算定基礎届) | 随時改定(月額変更届) | 根拠資料 |
|---|---|---|---|
| 対象者 | 7月1日現在のすべての被保険者・70歳以上被用者 | 固定的賃金が変動し3要件に当たった人だけ | 日本年金機構「定時決定」「随時改定」 |
| 対象月 | 4月・5月・6月に支払った報酬 | 変動後の賃金を初めて支払った月からの3か月 | 同上 |
| 提出時期 | 毎年7月10日まで(土日の場合は翌営業日) | 速やかに | 同上 |
| 適用期間 | 9月から翌年8月まで | 6月までの改定は当年8月まで、7月以降の改定は翌年8月まで | 同上 |
| 支払基礎日数 | 17日以上の月だけで平均。すべて17日未満の短時間就労者は15日以上17日未満の月で算定 | 3か月とも17日以上が必要(15日の特例はない) | 日本年金機構「定時決定」5 |
| 等級差の要件 | なし | 原則2等級以上(上限・下限にまたがるときと年間平均は1等級) | 日本年金機構「随時改定」・詳細説明PDF |
支払基礎日数の15日特例は定時決定にだけある扱いで、随時改定には適用されません。パートタイマーの昇給で「4月と6月は17日あるが5月が16日」というケースは、その回は随時改定になりません。次の定時決定を待つか、その後に再び固定的賃金が動いた時点で改めて判定します。要件を満たさなかった月を後から遡って改定することはできないので、判定は毎月の給与確定時に行うのが安全です。
月額変更届の提出までの流れ
- 固定的賃金が変わった月を特定する。昇給・降給、手当の新設や廃止、契約時間や単価の変更が起点。支払月であって計算月ではない
- その月から3か月分の給与台帳を並べ、⑩支払基礎日数がすべて17日以上(特定適用事業所の短時間労働者は11日以上)か確認する
- 各月の⑪通貨・⑫現物を集計して⑬合計を出し、3か月を足して⑭総計、対象月数で割って1円未満切り捨てで⑮平均額を出す
- 遡及支払額があれば差し引いた⑯修正平均額を出す。年間平均を使うなら様式1・様式2を作成して⑯に年間平均額を書く
- ⑮(または⑯)を標準報酬月額表に当てはめ、⑤従前と2等級以上ちがうか、上限・下限にまたがる1等級差かを確認する
- 該当すれば④改定年月に「変動後の賃金を支払った月から4か月目」を記入し、⑱備考の該当項目に〇をする
- 事務センターまたは管轄の年金事務所へ、電子申請・郵送・窓口持参のいずれかで速やかに提出する
- 決定通知書が届いたら給与システムの標準報酬月額を更新し、自社の控除方式に合わせて新しい保険料を反映する
提出前の要件チェック
よくある質問
Q1.月額変更届に提出期限はありますか。
日付での期限は定められておらず、日本年金機構は提出時期を「速やかに」としています。算定基礎届のような7月10日という締切はありませんが、改定月を過ぎてから出すと保険料の遡及精算が必要になるため、3か月目の給与を支払ったら速やかに作成してください。
Q2.3か月のうち1か月だけ支払基礎日数が17日未満でした。その月を除いて2か月の平均で出してよいですか。
できません。随時改定は変動月以後引き続く3か月のすべてで支払基礎日数が17日以上あることが要件です。1か月でも下回ればその回は随時改定に該当せず、届出は不要です。定時決定にある15日以上の特例は随時改定には適用されません。
Q3.昇給が4月にさかのぼって適用され、6月に差額が支給されました。起算月はいつですか。
差額が支給された月が変動月になります。日本年金機構は、さかのぼって昇給があり昇給差額が支給された場合は差額が支給された月を変動月とし、差額を差し引いた3か月間の報酬の平均額で従前と2等級以上の差が生じるかを見ると説明しています。届書では差額を含めた額を⑪に書いたうえで、⑧遡及支払額に支払月と差額を記入し、差し引いた平均を⑯修正平均額に書きます。
Q4.健康保険は2等級動きましたが厚生年金保険は1等級しか動きません。どうしますか。
健康保険と厚生年金保険では等級表の刻みが違うため、片方だけが2等級以上動くことがあります。様式の⑱備考には「5.健康保険のみ月額変更」という項目が用意されているので、該当する側だけの改定であることが分かるように〇を付けて提出します。
Q5.改定後の標準報酬月額はいつまで使いますか。
6月までに随時改定で決まった標準報酬月額は、再び随時改定がない限りその年の8月までの各月に適用されます。7月以降に改定された場合は翌年の8月まで適用され、この間は定時決定が行われません。
次にやること
今週の実務に落とす3ステップ
まず直近3か月で固定的賃金が動いた従業員を賃金台帳から抜き出し、上の要件チェックで判定します。次に該当者について⑭総計と⑮平均額を計算し、標準報酬月額表で等級差を確認します。最後に④改定年月と⑱備考を埋めて、事務センターまたは管轄の年金事務所へ速やかに提出してください。
決定通知書が届くまでは従前の標準報酬月額で控除を続け、通知が届いた月にまとめて差額を精算します。従業員から「手取りが変わった理由を知りたい」と聞かれたときは、改定年月と新しい標準報酬月額、控除方式(当月控除か翌月控除か)の3点を示せば説明が通ります。
出典
- 日本年金機構「随時改定(月額変更届)」 https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20150515-02.html
- 日本年金機構「4-3:月額変更届(報酬額に大幅な変動があり、随時改定に該当するとき)」(様式・記入例PDF・詳細説明PDF) https://www.nenkin.go.jp/shinsei/kounen/tekiyo/hoshu/20141224.html
- 日本年金機構「4-4:月額変更届(随時改定の際、年間報酬の平均で算定するとき)」 https://www.nenkin.go.jp/shinsei/kounen/tekiyo/hoshu/20180910.html
- 日本年金機構「届出に不備や記入誤りの多い事例の紹介(月額変更届)」 https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/info/jireishokai/henreigetsugakuhenko.html
- 日本年金機構「退職した従業員の保険料の徴収」 https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/nofu/20120330-01.html
- 日本年金機構「定時決定(算定基礎届)」および「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」 https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20121017.html
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」 https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20150515-01.html
- 日本年金機構「保険料の計算方法について」 https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/nofu/20121026.html
- 全国健康保険協会「令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/about/business/insurance_rate/rate_prefectures/r08/index.html
- 厚生労働省「厚生年金等の標準報酬月額の上限の段階的引上げについて」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00024.html
最終更新:2026年9月12日
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この記事の要点
- 確認主体:日本年金機構(健康保険・厚生年金保険)
編集・監修: 中澤圭志(中小企業診断士)
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本記事は公表資料の確認結果を整理したものです。新制度の決定を示すものではないため、最新の一次情報をご確認ください。




