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この記事の結論
対象者家族(親・配偶者・きょうだい等)を介護している人、および介護される本…
確認した金額—
現在の位置づけ確認日と一次情報をご確認ください
まずやること制度年度と一次情報を確認
制度情報の確認 過去制度と現在の状態を分けて確認
家族(親・配偶者・きょうだい等)を介護している人、および介護される本…
- 対象地域
- 全国
- 対象者
- 家族(親・配偶者・きょうだい等)を介護している人、および…
- 確認した過去制度の金額
- —
- 現在の位置づけ
- 通年募集 / 詳細は事務局へ
- 情報の確認方法
- 一次情報・公式発表を確認
詳細解説
親が要介護認定を受けた、退院の日程が決まった、介護のためにシフトを減らした——そのどこかの時点で、あなたはすでに「本来は戻ってくるはずのお金」を取りこぼし始めています。介護にまつわる公的なお金は、施設や事業所に支払われるものと、介護している家族が自分で申請して受け取るものにはっきり分かれます。後者はケアマネジャーの業務範囲の外にあることが多く、誰も教えてくれないまま時効を迎えます。この記事は、専門職向けの制度解説ではなく、介護している家族本人が、何から手をつけて、いくら戻るのかを生活の順番どおりに並べたものです。月々の自己負担が上限を超えたら返る仕組み、仕事を休んだら出る給付、そして申告しないと一円も動かない税の控除。この3系統を押さえるだけで、年間で数万円から数十万円の差がつきます。特に最後の「障害者控除対象者認定書」は、要介護認定を持っているだけで使えるのに、認知度が極端に低い制度です。
この記事の前提(information記事)
対象読者:家族(親・配偶者・きょうだい)を介護している人。介護される本人の代理で手続きする人も含みます。事業者・専門職向けではありません。
対象年度:2026年度(令和8年度)。税は2026年分の年末調整・確定申告を想定。
扱う制度:高額介護サービス費/高額医療・高額介護合算療養費/介護休業給付金/育児・介護休業法の介護関連措置/住宅改修費・福祉用具購入費/紙おむつ助成・家族介護慰労金/障害者控除対象者認定書/医療費控除/介護保険料の減免の9つ。
自治体差:あり。高額介護サービス費・合算療養費・障害者控除対象者認定書は全国共通の枠組みですが、認定基準・様式・受付時期は市区町村で異なります。紙おむつ助成と家族介護慰労金は実施の有無そのものが自治体判断です。
最終確認日:2026年8月7日
結論だけ先に(TL;DR)
- 月の介護サービス自己負担が上限を超えたら高額介護サービス費で返る。一般世帯で月44,400円、住民税非課税世帯で月24,600円が上限。
- 医療費と介護費は8月1日から翌年7月31日の1年単位で合算できる。70歳以上・一般区分なら年56万円が上限。
- 仕事を休んだら介護休業給付金。休業開始時賃金日額の67%、対象家族1人につき通算93日・3回まで分割可。
- 要介護認定があれば障害者控除対象者認定書で所得税27万円(特別障害者40万円)の控除。ここが最大の取りこぼし箇所。
- おむつ代と一部の介護サービス費は医療費控除に入る。生活援助中心型の訪問介護は入らない。
まずは自分の親がどの区分に当たるのかを掴んでください。世帯の状況を3分で入力して使える制度を診断すると、以下の金額のどこに当てはまるかの当たりがつきます。
44,400円高額介護サービス費の月上限(一般・課税所得380万円未満)
67%介護休業給付金の給付率(休業開始時賃金日額比)
27万円障害者控除の所得控除額(特別障害者は40万円)
介護で動くお金は3系統しかない
制度名を一つずつ覚えようとすると挫折します。介護している家族が触れるお金は、突き詰めると次の3系統です。①上限を超えた分が返る(償還)、②働き方を変えたら出る(給付)、③申告して初めて減る(税)。①は原則として市区町村が案内をくれますが、②と③は誰も声をかけてくれません。介護離職や収入減が起きるのは②③の空白域です。
以下の表は、この記事で扱う9制度を「いくら」「どこへ」「いつまで」で並べたものです。金額の根拠は各行の根拠資料欄のとおりで、いずれも一次情報で確認しています。
| 制度 | もらえる・減らせる金額 | 手続き先 | 申請期限・タイミング | 根拠資料 |
|---|---|---|---|---|
| 高額介護サービス費 | 月の自己負担が上限超過分(一般世帯は月44,400円超が対象) | 市区町村の介護保険担当 | 初回のみ申請。権利は2年で時効 | 江東区(介護保険課) |
| 高額医療・高額介護合算療養費 | 年間の医療+介護の超過分(70歳以上・一般で年56万円超) | 加入する医療保険(国保は市区町村) | 算定期間は8月1日〜翌年7月31日。翌年以降に申請 | 横浜市(国民健康保険) |
| 介護休業給付金 | 休業開始時賃金日額×支給日数×67%(月額上限366,222円) | ハローワーク(原則は勤務先経由) | 休業終了日の翌日から2か月後の月末まで | ハローワークインターネットサービス |
| 介護休暇 | 賃金は労使の定めによる(無給も可)。年5日/対象家族2人以上で年10日 | 勤務先 | 当日の申出でも取得可。時間単位でも取得できる | 厚生労働省 介護休業制度特設サイト |
| 住宅改修費(介護保険) | 支給限度基準額20万円のうち自己負担割合を除く分 | 市区町村(事前申請が必須) | 着工前に申請。事後申請は原則不可 | e-Gov法令検索 介護保険法 |
| 福祉用具購入費 | 年間10万円を上限に自己負担割合を除く分 | 市区町村 | 毎年4月1日から翌年3月31日で10万円をリセット | e-Gov法令検索 介護保険法 |
| 紙おむつ助成・家族介護慰労金 | 自治体により現物給付または年額数万円 | 市区町村の高齢福祉担当 | 自治体ごとに受付期間が異なる | e-Gov法令検索 介護保険法(地域支援事業) |
| 障害者控除(対象者認定書) | 所得税27万円・特別障害者40万円・同居特別障害者75万円の所得控除 | 市区町村(認定書)→ 勤務先または税務署 | 認定基準日は控除を受ける年の12月31日 | 国税庁 No.1160 |
| 医療費控除 | 支払った医療費-保険等の補填-10万円(総所得200万円未満は5%)/上限200万円 | 税務署(確定申告) | 翌年の確定申告。5年前まで遡って還付請求できる | 国税庁 No.1120 |
この表の読み方でひとつだけ
「申請期限・タイミング」の列を先に見てください。高額介護サービス費と介護休業給付金は期限を過ぎると請求権そのものが消えます。一方で医療費控除と障害者控除は5年前まで遡れます。動く順番は、期限が短いものからです。
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制度で取り戻したお金の次に守るべきは、あなたの時間
向いている人
- 在宅介護で、毎日の食事づくりが最初に削れなくなっている人
- 親と自分の2食分を別々に作っていて、買い物の回数が増えている人
- 市販の惣菜の添加物や塩分が気になって結局自炊に戻ってしまう人
向いていない人
- 嚥下機能の低下があり、きざみ食・ミキサー食の指示が出ている人
- 治療用の厳密な塩分・たんぱく質制限を医師から指示されている人
- 配食サービスの介護保険給付・自治体助成をすでに受けている人
高額介護サービス費や障害者控除で戻るのは「お金」ですが、在宅介護でいちばん先に枯れるのは介護者自身の時間と体力です。制度で家計を立て直したうえで、無添加調理の惣菜を冷蔵で届く形に置き換えると、調理と買い物にかかっていた時間をそのまま介護と休息に回せます。
要介護認定が出た直後の30日でやること
認定結果が届いてから最初の1か月が、後の還付額をいちばん大きく左右します。ケアプランの作成はケアマネジャーが進めてくれますが、お金の手続きは家族が自分で起こさないと動きません。順番は次のとおりです。
- 負担割合証を確認する。1割・2割・3割のどれかで、以降のすべての自己負担額が変わります。毎年7月に更新され8月から適用されます。
- 世帯の課税状況を確定させる。高額介護サービス費の上限額も、後述の合算療養費の限度額も、世帯の住民税課税状況で段階が決まります。世帯分離の検討をするならこの時点です。
- 住宅改修と福祉用具購入は着工・購入の前に相談する。介護保険の住宅改修費は事前申請が原則で、先に工事してしまうと支給されません。
- 勤務先に介護の事実を申し出る。2025年4月1日施行の改正育児・介護休業法で、申出を受けた事業主には制度の個別周知と意向確認が義務づけられました。黙っていると案内は来ません。
- 市区町村の高齢福祉担当で「障害者控除対象者認定書」を確認する。年末調整・確定申告の直前だと窓口が混み、交付までに数営業日かかります。
読読者
ケアマネさんに全部お任せしていれば、こういうお金の話も教えてもらえるものだと思っていました。違うのでしょうか。
専専門家
ケアマネジャーの業務は介護保険サービスの調整が中心で、税の控除や雇用保険の給付は担当外です。良心的な事業所は情報提供してくれますが、義務ではありません。専門職側がどこまで案内できるかはケアマネが利用者に案内できる給付金・助成金一覧に整理しました。相談する側として範囲を知っておくと話が早く進みます。
月ごとに戻る:高額介護サービス費
介護保険サービスの1か月あたりの自己負担額が、世帯の所得区分ごとに定められた上限を超えた場合、超えた分が後から払い戻されます。所得区分と上限額は次のとおりです。
| 区分 | 対象となる世帯 | 月額上限 | 世帯/個人 | 根拠資料 |
|---|---|---|---|---|
| 第6段階 | 課税所得690万円以上(年収約1,160万円以上) | 140,100円 | 世帯 | 船橋市 |
| 第5段階 | 課税所得380万円以上690万円未満(年収約770〜1,160万円) | 93,000円 | 世帯 | 船橋市 |
| 第4段階 | 住民税課税世帯で課税所得380万円未満 | 44,400円 | 世帯 | 江東区 |
| 第3段階 | 住民税非課税世帯(第2段階に該当しない) | 24,600円 | 世帯 | 江東区 |
| 第2段階 | 住民税非課税世帯で合計所得金額+課税年金収入額が80万円台以下 | 24,600円(個人は15,000円) | 世帯/個人 | 船橋市 |
| 第1段階 | 生活保護受給者、老齢福祉年金受給者など | 15,000円 | 個人 | 江東区 |
ここで見落とされがちなのが「世帯」の単位で上限が決まる段階が多い点です。夫婦2人ともが介護サービスを使っている場合、それぞれの自己負担を合算して44,400円を超えれば戻ります。逆に、同居の子の所得が高いために世帯の課税所得が押し上げられているなら、住民票上の世帯を分けることで段階が下がる余地があります。ただし世帯分離は国民健康保険料や介護保険料の段階判定、住民税非課税世帯向けの給付金の対象可否にも同時に影響します。片方だけ見て動くと損をします。
手続きは、多くの自治体で初回に一度申請すればその後は自動振込です。江東区の場合、サービス利用月のおよそ3か月後に区から申請書が届き、以降は支給月に自動で振り込まれます。介護保険の給付を受ける権利は2年で時効にかかるため(介護保険法第200条)、引っ越しや口座変更で通知が届いていない期間がないかを確認してください。なお、福祉用具購入費や住宅改修費、施設の食費・居住費は高額介護サービス費の対象外です。
年ごとに戻る:高額医療・高額介護合算療養費
医療も介護も両方かかっている世帯は、こちらが本命になります。同じ医療保険に加入する世帯単位で、毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間の医療費自己負担と介護費自己負担を合計し、限度額を超えた分が支給されます。高額療養費と高額介護サービス費で戻った分は差し引いたうえでの合算です。
| 年齢区分 | 所得区分 | 年間限度額 | 根拠資料 |
|---|---|---|---|
| 70歳以上 | 現役並み所得者III/II/I | 212万円/141万円/67万円 | 横浜市 |
| 70歳以上 | 一般 | 56万円 | 横浜市 |
| 70歳以上 | 低所得II/低所得I | 31万円/19万円 | 横浜市 |
| 70歳未満 | 所得901万円超/600〜901万円 | 212万円/141万円 | 横浜市 |
| 70歳未満 | 210〜600万円/210万円以下 | 67万円/60万円 | 横浜市 |
| 70歳未満 | 住民税非課税世帯 | 34万円 | 横浜市 |
この制度は自動では絶対に戻りません。医療保険と介護保険は別の帳簿で動いているため、両方をまたいで気づくのは加入者本人だけです。算定期間中に医療保険の種類が変わった人(退職して国保に移った、75歳になって後期高齢者医療に移った)は、前の保険者から自己負担額証明書を取り寄せる必要があり、ここで手続きが止まりがちです。医療側の限度額そのものは改定が入るため、高額療養費制度の自己負担限度額と高額療養費の窓口対応ガイドで最新の区分を確認したうえで合算を計算してください。
確認対象・制度の位置づけ
対象地域(全国)
- 目的
- 医療・福祉
- 対象地域
- 全国
- 対象者
- 家族(親・配偶者・きょうだい等)を介護している人、および介護される本人の代理で手続きをする人
- 確認した過去制度の金額
- —
対象年度と制度の状態は一次情報をご確認ください。
働きながら介護する人のお金
介護離職は、収入が途切れる期間そのものより「使えた制度を使わなかった」ことによる損失が大きくなります。以下は、あなたが直面している場面ごとに、どの制度が対応するかを整理した表です。
| あなたの場面 | 使える制度 | 取れる量・金額 | 誰に言うか |
|---|---|---|---|
| 退院調整や施設見学でまとまった期間休みたい | 介護休業+介護休業給付金 | 対象家族1人につき通算93日・3回まで/賃金日額の67% | 勤務先へ申出、給付はハローワーク |
| 通院の付き添いで単発の休みが要る | 介護休暇 | 年5日(対象家族2人以上は年10日)・時間単位でも取得可 | 勤務先。当日申出でも取得できる |
| 残業があると夕方のサービス調整が回らない | 所定外労働の制限(残業免除) | 1回1か月以上1年以内。請求回数の制限なし | 勤務先 |
| 夜間の見守りがあり深夜勤務が難しい | 深夜業の制限 | 午後10時〜午前5時の勤務を免除 | 勤務先 |
| 通勤時間を介護に充てたい | 介護のためのテレワーク | 事業主の努力義務(2025年4月1日施行) | 勤務先 |
| 勤続半年未満で入社したばかり | 介護休暇 | 労使協定による「継続雇用6か月未満の除外」は廃止済み | 勤務先 |
介護休業給付金は雇用保険の給付です。支給を受けるには、介護休業開始日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月以上あることが必要で、さらに休業期間中の各1か月ごとに、休業開始前の1か月あたり賃金の8割以上が支払われていないこと、就業日数が各支給単位期間で10日以下であることの両方を満たす必要があります。給付額は休業開始時賃金日額×支給日数×67%で、賃金月額の上限は546,600円、これに対応する給付金の月額上限は366,222円です(ハローワークインターネットサービス)。
2025年4月1日施行の改正育児・介護休業法では、介護に直面した労働者への個別の制度周知と意向確認が事業主の義務になりました。あわせて40歳等の節目での情報提供、介護離職防止のための雇用環境整備も義務化され、介護休暇について労使協定で「継続雇用期間6か月未満」を除外することができなくなっています(厚生労働省 育児・介護休業法について)。会社側が案内をしてこないなら、この改正を根拠に人事へ確認してください。事業主向けの支援策としては両立支援等助成金の有給介護休暇制度支援区分もあり、会社が制度整備に動きやすい材料になります。
読読者
介護休業は93日しか使えないのですよね。親の介護は何年も続くのに、たった3か月で何ができるのでしょうか。
専専門家
介護休業は「自分が介護するための休み」ではなく「介護の体制をつくるための休み」と設計されています。3回まで分割できるのはそのためで、退院直後、施設入所の調整時、看取り期の3回に割り当てる使い方が現実的です。日々の付き添いは介護休暇と残業免除で回し、体制づくりのときだけ介護休業を切り出す。この配分を最初に決めておくと93日は足ります。
いちばん取りこぼされている「障害者控除対象者認定書」
ここが本記事でもっとも強調したい部分です。障害者手帳を持っていなくても、市区町村長の認定を受ければ所得税・住民税の障害者控除が使えます。国税庁は障害者控除の対象者として「65歳以上で市町村長等の認定を受けている人」を明記しており、この認定の判断材料になるのが介護保険の要介護認定調査です(国税庁 No.1160 障害者控除)。
| 区分 | 所得税の控除額 | 該当しやすい状態の例 | 根拠資料 |
|---|---|---|---|
| 障害者 | 27万円 | 身体障害3〜6級相当、軽度・中度の認知症、軽度・中度の知的障害に準ずる状態 | 横浜市 |
| 特別障害者 | 40万円 | 身体障害1〜2級相当、重度の認知症、6か月程度以上寝たきりで日常生活に支障がある状態 | 横浜市 |
| 同居特別障害者 | 75万円 | 特別障害者に該当し、かつ納税者・配偶者・親族と同居している場合 | 国税庁 No.1160 |
| 認定基準日 | — | 控除を受けようとする年の12月31日(死亡した人はその死亡日) | 葛飾区 |
| 申請要件の例 | — | 65歳以上・要介護1以上・当該市区町村に住民登録があること(葛飾区の場合) | 葛飾区 |
金額のインパクトを具体的に見ます。あなた(扶養している側)の所得税率が10%で、親が特別障害者かつ同居なら、所得控除75万円は所得税だけで7万5,000円の減税に相当します。住民税側にも別枠で障害者控除があるため、実際の手取り差はさらに広がります。要介護認定を受けているのに認定書を取っていない人は非常に多く、ここだけで数年分の取り返しが効くケースがあります。医療費控除と同様、過去5年分まで遡って還付請求できるため、認定書を過年度分まで交付してもらえるかを窓口で確認してください。
注意点として、要介護度と控除区分は自動的に対応しません。横浜市は「要介護認定を受けた場合でも必ずしも対象にはならず、要介護認定を受けていない方であっても対象となる場合がある」と明記しています。判断材料は認定調査票の内容(認知症高齢者の日常生活自立度、障害高齢者の日常生活自立度)であり、要介護2でも特別障害者相当になることもあれば、要介護3でも障害者どまりのこともあります。手帳をお持ちの場合の申請書類の書き方は特別障害者手当の申請書の書き方、年金側の判定は障害年金の申請書と診断書の書き方が参考になります。
医療費控除に入る介護費用・入らない介護費用
医療費控除は「実際に支払った医療費-保険金等で補填された金額-10万円(総所得金額等が200万円未満なら総所得金額等の5%)」で計算し、控除額の上限は200万円です。生計を一にする家族の分をまとめて、所得の高い人の申告に寄せるのが基本です。
介護サービスの自己負担のうちどこまでが対象かは、国税庁が明確に線を引いています。訪問看護・訪問リハビリ・居宅療養管理指導・通所リハビリ・短期入所療養介護などの医療系サービスは単独で対象。訪問介護(生活援助中心型を除く)・訪問入浴介護・通所介護・短期入所生活介護などの福祉系サービスは、1か月単位のケアプランに医療系サービスが位置づけられている場合に限り対象になります。生活援助中心型の訪問介護、認知症対応型共同生活介護、福祉用具貸与は対象外です(国税庁 No.1127)。
おむつ代を医療費控除に入れる条件
おおむね6か月以上寝たきりで治療上おむつが必要と医師が認めた場合、おむつ代は医療費控除の対象になります。初年度は医師が発行するおむつ使用証明書が必要で、2年目以降は主治医意見書の内容を市区町村が確認した書類(確認書等)で代用できる取扱いがあります(国税庁 質疑応答事例「おむつ代の医療費控除」)。領収書は世帯でまとめて年単位で保管してください。自治体の現物支給を受けている分は自己負担していないため対象外です。
自治体の紙おむつ助成と医療費控除は、対象になる範囲が重なるようで実は別物です。助成で現物支給を受けた分は控除に入れられず、自費で買い足した分だけが控除対象になります。両者の関係は大人用紙おむつ助成2026 全国自治体一覧と医療費控除の要件で整理しています。
住宅改修・福祉用具・自治体独自の助成
介護保険には、サービス利用とは別枠の現物・現金給付があります。いずれも上限が明確で、使い切りの管理が効きます。
住宅改修費(上限20万円)
手すり取付け、段差解消、滑り防止のための床材変更、引き戸等への扉の取替え、洋式便器への取替えなどが対象。着工前の事前申請が必須で、先に工事をすると支給されません。要介護度が3段階上がったときと転居時にリセットされます。自治体独自の上乗せ制度がある地域もあり、芦屋市の住宅改造費助成のように介護保険+最大100万円という例もあります。
福祉用具購入費(年10万円)
腰掛便座、入浴補助用具、簡易浴槽など、貸与になじまない用具が対象。毎年4月1日から翌年3月31日で10万円がリセットされます。借りるほうが安いか買うほうが安いかは使用期間で逆転するため、福祉用具は借りる?買う?の比較と福祉用具購入費助成の申請手順で先に試算してください。
このほか、市区町村の地域支援事業として紙おむつの現物給付・購入費助成や、一定期間サービスを利用していない在宅要介護者の家族に支給される家族介護慰労金があります。どちらも実施の有無・金額・要件が自治体ごとにまったく異なり、年額数万円から十数万円まで幅があります。夏場の熱中症対策では高齢者のエアコン設置助成のように非課税世帯向けの現物助成が用意されている自治体もあります。お住まいの自治体の制度は医療・福祉カテゴリの記事一覧と子育て・生活支援カテゴリの記事一覧、全国対象の制度一覧から探せます。
申請でよくある不採択・落とし穴
ここまでの制度は「要件を満たしていれば必ず受けられる」ものが大半ですが、実務では書類の不備と順序の誤りで止まります。実際に差し戻しが起きているパターンを挙げます。
1. 住宅改修を先に工事してしまう
もっとも金額の大きい失敗です。介護保険の住宅改修費は事前申請が原則で、工事後に申請しても支給されません。「急ぎだったので先に手すりを付けた」は救済されないと考えてください。工事業者が申請代行に慣れていない場合も、書類の様式違いで差し戻しになります。
2. 介護休業給付金の申請期限を過ぎる
介護休業終了日の翌日から起算して2か月を経過する日の属する月の末日までが期限です。会社経由で申請するのが原則のため、担当者が慣れていないと期限が近づいてから慌てる展開になりがちです。休業に入る前に、誰がいつハローワークへ出すのかを書面で確認しておくのが唯一の予防策です。
3. 障害者控除対象者認定書を12月に取りに行く
認定基準日は12月31日ですが、認定書の交付には数営業日から数週間かかります。年末調整の締切に間に合わず、結局その年は控除を諦めるという不採択ならぬ「自主放棄」が毎年発生します。11月までに動くか、確定申告に回してください。
4. 合算療養費で自己負担額証明書を取り忘れる
算定期間中に医療保険が変わった人は、前の保険者が発行する自己負担額証明書がないと合算できません。退職・後期高齢者医療への移行があった年は必ず発生する落とし穴で、証明書の取得だけで数週間かかることもあります。
5. 世帯分離を「節税」目的だけで判断する
高額介護サービス費の段階は下がっても、国民健康保険料や介護保険料、非課税世帯向け給付金の判定が同時に動きます。トータルで損になる構成は珍しくありません。市区町村の窓口で両方の影響を試算してもらってから決めてください。
申請しないともらえないもの/自動で適用されるもの
介護のお金でもっとも差がつくのは、この区別を知っているかどうかです。左側は放置すると一円も入りません。
| 制度 | 初回の申請 | 2回目以降 | 放置した場合 |
|---|---|---|---|
| 高額介護サービス費 | 必要(多くの自治体で案内が届く) | 自動振込 | 2年で時効消滅 |
| 高額医療・高額介護合算療養費 | 必要 | 毎年必要な自治体が多い | 2年で時効消滅 |
| 介護休業給付金 | 必要(原則は勤務先経由) | 分割ごとに必要 | 期限経過で請求権消滅 |
| 障害者控除(認定書) | 必要(毎年再申請の自治体が多い) | 毎年必要 | 5年以内なら更正の請求で遡及可 |
| 医療費控除 | 必要(確定申告) | 毎年必要 | 5年以内なら還付申告可 |
| 負担割合の判定 | 不要 | 不要 | 毎年8月に自動更新される |
| 介護保険料の段階判定 | 不要 | 不要 | 減免は別途申請が必要 |
介護保険料そのものについては、災害や失業、世帯の収入が著しく減ったときに減免が受けられる場合があります。段階判定は自動でも、減免は申請しなければ適用されません。要件と申請の流れは介護保険料の減免|申請で下がる人・自動で下がる人にまとめています。制度改正の方向性を先に知っておきたい場合は介護保険2027年改正の論点と2026年10月から変わる制度の総まとめが役立ちます。
手続き前に揃える書類チェックリスト
窓口で「これが足りません」と言われて出直すのを防ぐため、共通して必要になるものを並べました。制度ごとの追加書類は各自治体の案内で確認してください。
よくある質問
Q. 親と別居していても障害者控除は使えますか。
A. 使えます。障害者控除は扶養控除の対象になっている親族について適用できるため、生計を一にしていれば別居でも構いません。ただし控除額は27万円または40万円で、75万円の同居特別障害者は同居が要件です。仕送りの事実を示せるようにしておいてください。
Q. 高額介護サービス費は施設に入っていても対象ですか。
A. 介護サービスの自己負担部分は対象です。ただし施設の食費・居住費(滞在費)と日常生活費は対象外で、これらは別に負担限度額認定を申請することで軽減される仕組みがあります。窓口で「特定入所者介護サービス費」の対象になるかもあわせて確認してください。
Q. 介護休業給付金をもらうと、社会保険料も免除されますか。
A. 免除されません。育児休業と異なり、介護休業期間中の健康保険料・厚生年金保険料の免除制度はありません。給付は賃金日額の67%ですが、社会保険料の負担は続くため、手取りベースでの資金計画はこの点を織り込んで立ててください。
Q. 医療費控除と障害者控除は両方使えますか。
A. 両方使えます。医療費控除は支出に対する控除、障害者控除は人的控除で、性質が違うため併用に制限はありません。同じ年に高額介護サービス費で払い戻しを受けている場合は、その分を医療費から差し引いて計算する点だけ注意してください。
Q. 過去に申請し忘れた分は、いつまで遡れますか。
A. 制度によって違います。高額介護サービス費と合算療養費は2年、税の還付申告は5年です。障害者控除を取り忘れていた場合、認定書を過年度分まで交付してもらえれば更正の請求で戻せる可能性があります。まず市区町村の高齢福祉担当に「何年分まで認定書を出せるか」を聞いてください。
受け取ったあと、次にやること
還付が入ったら終わりではありません。介護は要介護度も世帯の所得も動くため、年に2回の見直しタイミングを決めておくと取りこぼしが止まります。
- 毎年7月:新しい負担割合証が届く。割合が変わっていないかを確認し、変わっていれば月々の自己負担の見込みを立て直す。
- 毎年8月:高額医療・高額介護合算療養費の算定期間が切り替わる。前年度分の申請が済んでいるかを確認する。
- 毎年11月:障害者控除対象者認定書を申請する。年末調整に間に合わせるならこの月が最後の安全圏。
- 要介護度が変わったとき:住宅改修費の20万円枠がリセットされる条件に当たるかを確認する。
- 世帯構成が変わったとき:高額介護サービス費の段階と介護保険料の段階を再確認する。
今日いちばん効く一手
この記事で挙げた9制度のうち、あなたの世帯でどれが使えるかは所得区分と要介護度で決まります。まずは条件を入れて絞り込んでみてください。
出典
- 江東区「介護保険 高額介護(介護予防)サービス費の支給」(所得段階別の月額上限、申請と自動振込の運用)
- 船橋市「高額介護(介護予防)サービス費について」(課税所得区分別の上限額)
- 横浜市「高額医療・高額介護合算療養費制度」(算定期間と所得区分別の年間限度額)
- ハローワークインターネットサービス「介護休業給付」(支給要件、67%、93日・3回、月額上限366,222円)
- 厚生労働省「介護休業制度 特設サイト」(両立支援制度の全体像)
- 厚生労働省「育児・介護休業法について」(令和7年4月1日施行の介護関連改正)
- 国税庁 No.1160「障害者控除」(27万円・40万円・75万円、市町村長等の認定)
- 国税庁 No.1120「医療費を支払ったとき」(計算式、10万円・5%、上限200万円)
- 国税庁 No.1127「医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価」
- 国税庁 質疑応答事例「おむつ代の医療費控除」
- 横浜市「高齢者の障害者控除認定書の発行について」(障害者/特別障害者の判定の考え方)
- 葛飾区「障害者控除対象者の認定」(認定基準日12月31日、65歳以上・要介護1以上)
- e-Gov法令検索「介護保険法」(保険給付を受ける権利の2年時効、住宅改修・福祉用具購入費)
- e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(介護休業93日、介護休暇年5日・10日)
最終更新:2026年8月7日(令和8年8月7日)。改正育児・介護休業法の介護関連措置は2025年(令和7年)4月1日施行分まで反映しています。金額・要件は制度改正で変わるため、申請前に必ずお住まいの市区町村と加入先の医療保険者で最新の内容をご確認ください。
制度情報の確認
要点
制度の事実確認まとめ
過去制度と現在の状態を分けて確認してください。
- 対象地域
- 全国
- 対象者
- 家族(親・配偶者・きょうだい等)を介護してい…
- 確認した過去制度の金額
- —
- 現在の位置づけ
- 通年募集 / 詳細は事務局へ
| 現在の位置づけ | 通年募集 / 詳細は事務局へ |
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