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2027年4月から変わる制度まとめ|年金・雇用・教育の改正点

2027年4月の制度改正の影響を受ける個人・世帯・事業者。年金受給者、65歳以上の介護保険第1号被保険者、外国人材を受け入れる企業・監理団体、公…

この記事の結論

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分野により異なる。介護保険料決定通知書(2027年2…

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2027年4月(令和9年4月)に何が変わるのか。ニュースでは「年金が変わる」「外国人制度が変わる」と一括りに語られますが、一次情報で施行日を確認すると、実際に2027年4月1日から動くものと、2027年の別の月に動くもの、まだ何も決まっていないものが混在しています。とくに2025年6月に成立した年金制度改正法は、7つの改正項目のうち2027年4月に施行されるものが1つもありません。この記事では、厚生労働省・こども家庭庁・文部科学省・国税庁の一次資料にあたって施行日を1件ずつ確認し、「確定」「予定」「検討中」の3段階に分けて整理しました。金額や率が未告示のものは、未告示であることをそのまま書いています。読み終えたときに、自分が2027年3月までに動くべきかどうかが判断できる状態を目指しています。

この記事の結論(2026年8月26日時点)

  1. 2027年4月1日施行が法令で確定しているのは、育成就労制度の開始と、それに伴う技能実習の経過措置。
  2. 介護は第10期介護保険事業計画(2027〜2029年度)が始まり、市区町村の介護保険料が3年ぶりに改定される。
  3. 年金額・国民年金保険料・雇用保険料率・介護報酬・障害福祉報酬は「2027年4月に改定される」ことは決まっているが、額と率は未告示
  4. 年金制度改正法の主要7項目は2026年4月・2027年9月・2027年10月・2028年4月に分散。2027年4月ではない。
  5. 教育分野で2027年4月施行が確定した変更は、2026年8月26日時点で確認できていない。
2027/4/1育成就労法の施行日(政令で確定)
3年ぶり介護保険料の改定(第10期の開始)
0項目年金制度改正法のうち2027年4月施行

2027年4月から本当に変わるのは何ですか?

法令で施行日が2027年4月1日と確定しているのは、育成就労制度の施行と、それに伴う技能実習の経過措置です。加えて、介護保険法が定める3年周期により第10期介護保険事業計画(2027年度〜2029年度)が2027年4月に始まり、市区町村の第1号保険料が改定されます。

この2つ以外の「2027年4月」は、年度替わりに毎年行われる定例改定(年金額、国民年金保険料、雇用保険料率)と、3年周期の報酬改定(介護報酬、障害福祉サービス等報酬)です。いずれも実施時期は決まっていますが、金額と率は2026年8月時点で未告示です。厚生労働省の資料でも、育成就労法については「育成就労法の施行日(令和9年4月1日)」と明記されています(厚生労働省「育成就労制度の施行に伴う技能実習の経過措置について」)。

この記事での「確度」の定義

確定=改正法または政令が公布済みで、施行日が2027年4月と法令上定まっているもの。予定=実施することは法令・制度上決まっているが、金額・率が未告示のもの。検討中=審議会や概算要求の段階で、施行時期そのものが未確定のもの。検討中のものを「決まった」とは書きません。

図解:2027年4月から本当に変わるのは何ですか?

2027年4月の施行日カレンダー(分野別・確度つき)

2026年8月26日時点で一次情報にあたって確認した内容を一覧にしました。「根拠資料」の列には、施行日または実施時期の根拠となる公的資料を記載しています。金額・率が未告示のものは、金額欄をあえて空けています。

分野変わること施行日・時期確度影響を受ける人根拠資料
雇用・外国人材育成就労制度の施行(技能実習制度に代わる新制度)2027年4月1日確定外国人材を受け入れる企業・監理団体・技能実習生厚生労働省「育成就労制度の施行に伴う技能実習の経過措置について」
雇用・外国人材技能実習計画の新規認定申請ができなくなる(施行日以降は申請不可)2027年4月1日確定2027年春以降に技能実習生の受入れを予定する企業同上(育成就労法附則第8条第4項・第9条第2項)
雇用・外国人材技能実習3号へ進むには、施行日時点で2号を1年以上行っていることが必要2027年4月1日確定2027年4月時点で技能実習2号の実習生と受入れ企業同上(育成就労法附則第9条第3項)
医療・介護第10期介護保険事業計画の開始(2027年度〜2029年度)と第1号保険料の改定2027年4月確定65歳以上の第1号被保険者全員社会保障審議会介護保険部会 第135回(2026年6月29日)基本指針(案)
医療・介護令和9年度介護報酬改定(3年周期)2027年4月予定(改定率は未告示)介護サービス利用者・介護事業者社会保障審議会介護給付費分科会 第262回(2026年8月5日)資料
医療・介護令和9年度障害福祉サービス等報酬改定(3年周期)2027年4月予定(改定案とりまとめは2027年2月)障害福祉サービス利用者・事業者社会保障審議会障害者部会 第156回(2026年6月5日)資料1
年金令和9年度の年金額改定(2027年4月分=6月支払分から)2027年4月分から予定(改定率は2027年1月頃公表)老齢・障害・遺族年金の受給者全員日本年金機構「年金額はどのようなルールで改定されるのですか。」
年金令和9年度の国民年金保険料額の改定2027年4月予定(額は未告示)国民年金第1号被保険者国民年金法第87条(保険料改定率による年度改定)
雇用令和9年度の雇用保険料率の改定2027年4月1日予定(率は未告示)雇用保険の被保険者と全事業主厚生労働省「令和8年度雇用保険料率のご案内」(適用は2027年3月31日まで)
子育て子ども・子育て支援金の令和9年度分(2026年度から段階的に増額)2027年4月予定(令和9年度の支援金率は未告示)公的医療保険に加入している全員こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」
教育2027年4月施行が確定した変更は確認できていない(高校授業料の所得制限撤廃は2026年4月に施行済み)該当なし文部科学省「高校生等への修学支援」
防衛特別所得税の創設(=2027年1月1日から。4月ではない)2027年1月1日確定所得税を源泉徴収されるすべての人国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税に関するQ&A」(令和8年5月)

この表で最初に確認してほしいのは「確度」の列です。確定は4件、予定は6件、確認できていない分野が1件。ニュースで「2027年4月に大改正」と語られる量に対して、法令で施行日まで固まっているものは意外に少ないというのが実態です。自分に関係する制度がどれかを絞り込みたい方は、世帯構成と就業状況から使える制度を絞り込む補助金診断で当たりをつけてから、該当する章だけ読むほうが早く終わります。

年金は2027年4月に動かない — 動くのは2026年4月と2027年の秋

2025年6月13日に成立した年金制度改正法(正式名称「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」)は、7項目の改正を含みます。厚生労働省の法律説明資料に載っている施行日一覧を読むと、2027年4月の欄は空白です。ここを取り違えると「2027年4月から年金が増える/減る」という誤った前提で家計を組むことになります。

改正項目施行時期2027年4月か根拠資料
在職老齢年金の支給停止基準額を月51万円(令和7年度)から65万円へ引き上げ2026年4月いいえ(1年早い)日本年金機構「老齢年金ガイド 令和8年度版」/厚生労働省 法律説明資料(概要版)
加入拡大の対象となる短時間労働者への保険料負担軽減措置2026年10月いいえ同上
標準報酬月額の上限引き上げ(65万円→68万円)2027年9月いいえ(半年遅い)同上
企業規模要件の段階的撤廃(従業員36〜50人の企業)2027年10月いいえ同上
遺族厚生年金の男女差解消(20年かけて段階的に)2028年4月いいえ(1年遅い)同上
こどもを養育する年金受給者の加算額拡充・対象範囲拡大2028年4月いいえ同上
賃金要件(いわゆる年収106万円の壁)の撤廃、iDeCoの加入可能年齢引き上げ公布から3年以内の政令で定める日未定同上

つまり2027年4月に年金で起きることは、毎年度行われる年金額の改定だけです。改定率は前年の物価変動率・名目手取り賃金変動率とマクロ経済スライド調整率から計算され、例年1月下旬に公表されて4月分(6月支払分)から反映されます。2026年4月に先行して動く在職老齢年金の見直しについては在職老齢年金の支給停止基準額引き上げで手取りがどう変わるかを、2028年4月の遺族年金改正については遺族厚生年金の5年有期化と経過措置の全体像を先に押さえておくと、時系列の混乱を避けられます。

読者

ニュースで「2027年から年金の壁がなくなる」と聞いたのですが、2027年4月に手続きが要るということですか?

専門家

いいえ、要りません。賃金要件(106万円の壁)の撤廃は「公布から3年以内の政令で定める日」で、日付自体がまだ決まっていません。厚生労働省は全国の最低賃金の引き上げ状況を見極めて判断すると説明しています。企業規模要件の撤廃は従業員36〜50人の企業で2027年10月からで、これも4月ではありません。加入手続き自体は勤務先が行うので、2027年4月に個人が動く場面はありません。

育児期間中の国民年金保険料が免除される仕組みなど、2026年に先行して動く制度もあります。第1号被保険者で出産予定がある方は国民年金の育児期間保険料免除の対象と申請時期を確認しておいてください。すでに受給手続きに入る段階の方は年金請求書の欄ごとの書き方と添付書類が実務の助けになります。

年金は2027年4月に動かない — 動くのは2026年4月と2027年の秋を整理した図解

外国人材:育成就労制度が2027年4月1日に始まる

2027年4月1日施行が政令で確定しているのが育成就労制度です。技能実習制度に代わる制度で、人手不足分野の人材確保と育成を目的とします。ここは企業側の準備期限が実質的に2027年3月末になるため、5本の制度改正のなかで最も切迫度が高い項目です。

受入れ企業が2027年3月末までに判断すべき3点

①施行日以降は技能実習計画の新規認定申請ができません。②施行日前に計画認定と在留資格認定証明書の交付を受けた人は、2027年6月30日までに入国する必要があります。③技能実習3号へ進むには、2027年4月1日時点で技能実習2号を1年以上行っていることが条件です。この3点はいずれも育成就労法の附則に定められた確定事項で、運用の裁量で緩和されるものではありません。

とくに③は判断を誤りやすいところです。「2号を修了していれば3号に進める」と読むと不支給ならぬ不許可になります。条文は「施行日時点において技能実習2号を1年以上行っていること」を求めているため、2026年秋以降に2号を開始した実習生は3号へ進めません。制度の全体像は育成就労制度の要件・受入れ人数枠・転籍ルールの解説にまとめています。

5項目のうち1つでも外れる場合、その実習生は3号へ進めません。育成就労への在留資格変更もできないため、受入れ計画そのものを組み直す必要があります。人材確保の代替策としては、高年齢者や離職者の採用に使える給付制度が現実的です。高年齢求職者給付金の支給額と受給の流れ教育訓練支援給付金で職業訓練中の生活費をまかなう方法を、採用計画とあわせて検討してください。

介護:第10期がはじまり、保険料と報酬が同時に動く

2027年4月は介護分野にとって節目です。介護保険法に基づく市町村介護保険事業計画は3年を1期とし、第9期(2024〜2026年度)が終わって第10期(2027〜2029年度)が2027年4月に始まります。計画の切り替わりに合わせて、65歳以上の第1号被保険者が納める介護保険料が改定されます。

確認対象・制度の位置づけ

対象地域(全国)

目的
給付金
対象地域
全国
対象者
2027年4月の制度改正の影響を受ける個人・世帯・事業者。年金受給者、65歳以上の介護保険第1号被保険者、外国人材を受け入れる企業・監理団体、公的医療保険の加入者、子育て世帯。
確認した過去制度の金額

対象年度と制度の状態は一次情報をご確認ください。

保険料の額を決めるのは国ではなく市区町村です。各自治体は2026年度中に条例を改正して第10期の保険料段階と基準額を決めるため、自分の負担額が分かるのは2027年2月〜3月頃になります。国レベルでは、社会保障審議会介護保険部会が2026年6月29日の第135回会合で第10期の基本指針(案)を示し、中山間・人口減少地域への対応、医療・介護連携、高齢者向け住まい、人材確保と生産性向上を柱に据えました。

2027-2029第10期介護保険事業計画の期間
3年ごと第1号保険料と介護報酬の改定周期
2027年2月障害福祉サービス等報酬改定案のとりまとめ時期

介護報酬(サービス事業者に支払われる公定価格)と障害福祉サービス等報酬も、同じ2027年4月に改定されます。改定率は例年、前年12月の予算編成過程で決まるため、2026年8月時点では未告示です。障害福祉サービス等報酬改定検討チームの資料では、2027年2月に改定案をとりまとめるスケジュールが示されています。介護報酬が上がればサービス費の1割〜3割を負担する利用者の自己負担も連動して上がるため、利用者にとっても他人事ではありません

検討中のため、この記事では「決まった」と書かないもの

介護保険の利用者負担2割の対象拡大、ケアプラン作成の有料化、軽度者向けサービスの地域支援事業への移行は、第10期に向けた論点として審議会で議論されていますが、2026年8月26日時点で結論は出ていません。「2027年4月から2割負担が増える」と断定している解説は、審議会の議論と決定を取り違えています。論点の整理は介護保険2027年改正で議論されている論点と負担への影響にまとめています。

読者

親の介護保険料が2027年4月から上がると聞きました。今のうちにいくら上がるか調べられますか?

専門家

2026年8月時点では調べられません。第10期の保険料は市区町村が条例で決めるもので、多くの自治体は2027年2月〜3月の議会で確定させます。いま確認できるのは第9期(2024〜2026年度)の保険料段階表までです。ただし、保険料段階は前年の合計所得金額と世帯の課税状況で決まるので、2026年の所得が大きく動く見込みがある方は、段階が1つ上がる可能性を織り込んでおくと安全です。介護サービスの利用を始める段階なら、先に要介護認定の申請書の書き方を確認してください。

6項目すべてに当てはまる場合、2027年4月に「年金額の改定」「第10期介護保険料の改定」「介護報酬改定に伴う自己負担の変動」「子ども・子育て支援金の増額」が同時に効きます。手取りベースの変動幅が読みにくくなるため、2027年2月に自治体から届く保険料決定通知と、1月下旬に公表される年金改定率を必ず突き合わせてください。1つでも外れる場合は、該当する章だけを読めば足ります。

介護:第10期がはじまり、保険料と報酬が同時に動くを整理した図解

子育て・教育:支援金は増え、給食無償化は小学校で止まっている

子ども・子育て支援金は、公的医療保険料に上乗せして徴収される仕組みで、2026年4月分の保険料(5月の給与天引き)から拠出が始まりました。こども家庭庁は令和8年度の一律の支援金率を0.23%(被用者保険)と示しています。制度設計上、拠出額は令和9年度・令和10年度と段階的に引き上げられますが、令和9年度の支援金率は2026年8月時点で未告示です。したがってこの記事では2027年4月からの具体的な率と金額は書きません。

教育分野は、2027年4月施行が確定した変更を確認できませんでした。高等学校等就学支援金の所得制限撤廃は令和8年3月31日成立・4月1日施行、つまり2026年4月に施行済みです。文部科学省の該当ページにも2027年度に関する記載はありません。「高校無償化が2027年4月から」という説明を見かけたら、施行済みの改正を1年ずらして書いている誤りだと考えてください。大学等の学費支援については多子世帯の大学無償化の対象と所得要件で現行制度を確認できます。

2026年4月に施行済み(確定)

高等学校等就学支援金の所得制限撤廃。公立小学校の学校給食費の抜本的な負担軽減(国の補助基準額は完全給食で1人1か月5,200円、特別支援学校小学部は6,200円)。子ども・子育て支援金の拠出開始。

2027年4月は検討中(断定しない)

中学校給食費の負担軽減は「できる限り速やかに」という方針段階で、実施時期は決まっていません。子ども・子育て支援金の令和9年度の率も未告示です。この2つを「2027年4月から」と書くのは誤りです。

子育て世帯の給付では、児童扶養手当のように年度をまたぐ手続きが毎年発生するものがあります。2027年4月の改正を気にする前に、毎年の現況届や所得状況届を落とさないほうが金額へのインパクトは大きいのが実情です。児童扶養手当の支給月額と支給日の一覧で自分の該当区分を確認しておいてください。育児・介護の休業給付を使う予定がある方は出生後休業支援給付金と育児時短就業給付金の受給条件もあわせてどうぞ。

2026年10月改正からの続き — 何が終わり、何が残っているか

2027年4月の改正は、2026年10月の改正と地続きです。2026年10月には年金制度改正法のうち「加入拡大の対象となる短時間労働者への保険料負担軽減措置」が動き出しました。この措置は、企業規模要件の撤廃で新たに社会保険に加入することになる短時間労働者について、3年間、事業主の追加負担で保険料負担を軽減するものです。軽減の対象になる人が実際に増え始めるのは、企業規模要件が36〜50人の企業まで下りてくる2027年10月からです。

つまり時系列は「2026年10月に受け皿をつくり → 2027年4月は年度替わりの定例改定と育成就労の施行 → 2027年9月に標準報酬上限の引き上げ → 2027年10月に企業規模要件の第1弾撤廃」という順序になります。2026年10月に何が施行されたかを押さえていないと、2027年の改正が宙に浮いて見えます。前段の整理は2026年10月から変わった制度の総まとめで確認できます。この2本を続けて読むと、2026年から2028年までの改正が1本の線としてつながります。

2027年のうち、4月以外に動く主な項目

2027年1月1日:防衛特別所得税の創設(源泉徴収すべき所得税額の1%。同時に復興特別所得税が2.1%から1.1%へ引き下げられ、合計税率2.1%は変わりません)。2027年9月:厚生年金の標準報酬月額の上限を65万円から68万円へ引き上げ。2027年10月:社会保険の企業規模要件の撤廃が従業員36〜50人の企業へ拡大。いずれも4月ではないため、4月の家計見直しに含めないでください。

関連する補助金・助成金

2026年10月改正からの続き — 何が終わり、何が残っているかを整理した図解

改正前後でよくある勘違いと手続きの落とし穴

ここまでの取材で、実際に相談現場で起きている取り違えを整理しました。制度改正のまとめ記事は「いつから」を1つ間違えるだけで判断がすべて崩れるため、以下の7つは特に注意点として押さえてください。

落とし穴①:年金制度改正法の項目を「2027年4月から」と読む

最も多い誤りです。厚生労働省の施行日一覧に2027年4月の記載はありません。在職老齢年金は2026年4月、標準報酬上限は2027年9月、遺族厚生年金は2028年4月です。「改正法が成立した」と「その内容が施行された」を混同すると、働き方の調整を1年間も無駄に続けることになります。

落とし穴②:法案資料の「62万円」をそのまま覚えてしまう

在職老齢年金でとくに混乱しているのがこの数字です。厚生労働省の法律説明資料に載っている62万円は2024年度価格で書かれた法定額で、実際に適用される支給停止調整額は賃金変動率で毎年度改定されます。日本年金機構「老齢年金ガイド 令和8年度版」は「月51万円(令和7年度)から65万円に引き上げられました」と記載し、計算式も基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-65万円)÷2と65万円で書かれています。働き方を調整するときに使うべき数字は65万円です。ネット上には法定額の62万円が残っているため、出典が法案資料か年金機構のガイドかを必ず確かめてください。

落とし穴③:技能実習3号への移行を「2号修了」で判断する

条文の要件は「施行日時点で2号を1年以上行っていること」です。修了見込みだけでは足りません。ここを読み違えたまま計画を進めると、在留資格の変更が認められず、実習生が帰国せざるを得なくなります。育成就労への在留資格変更もできないため、後から救済する手段がありません。

落とし穴④:介護保険料の「上がる額」を今調べようとする

第10期の保険料は市区町村が2026年度中の条例改正で決めます。2026年8月時点で公表されている自治体はありません。ネット上で「2027年度の介護保険料は◯円」と具体額を出している記事は、第9期の額をそのまま流用しているか、推計を断定に書き換えたものです。

落とし穴⑤:審議会の議論を決定事項として扱う

介護保険の利用者負担2割の対象拡大やケアプランの有料化は、検討中の論点であって決定ではありません。同様に、中学校給食費の無償化も方針段階です。検討中のものを前提に資産計画を立てると、実際には実施されなかったときに前提が丸ごと崩れます。

落とし穴⑥:年度替わりの申請書を旧様式で出して差し戻される

年度替わりに様式や記載要領が変わる書類は、旧様式で提出すると窓口で差し戻されます。差し戻しの間に受付期限を過ぎると、その分は不支給になります。とくに雇用保険の受給手続きは日付管理が厳しく、求職活動実績の書き方と認定対象になる活動の範囲離職票2の記載内容の確認ポイントを先に読んでおくと、差し戻しの多くは防げます。

落とし穴⑦:防衛特別所得税を「2027年4月から」と覚える

適用は令和9年1月1日以後に生ずる所得からです。給与でいえば2027年1月支払分の源泉徴収から変わります。4月と覚えていると、1月〜3月の手取りの変化を別の原因に誤って帰属させることになります。なお合計税率は2.1%のままで変わらないため、手取りが減るわけではありません。

制度改正のまとめ記事でNG事例として繰り返し見かけるのが、成立日・公布日・施行日の3つを区別せずに書くパターンです。年金制度改正法は2025年6月13日に成立しましたが、施行はそこから最短で10か月後、最長で3年近く先に分散しています。失敗しない読み方は単純で、「その数字はどの資料の何ページに、何年何月何日施行と書かれているか」を1件ずつ確認することです。

2027年3月までにやっておくこと

確定事項と定例改定を踏まえると、個人・企業がいま動くべきことは限られます。順序をつけると次の5ステップです。

  1. 自分に効く分野を1つか2つに絞る。上のカレンダー表の「影響を受ける人」列で該当するものだけを残します。
  2. 外国人材を受け入れている企業は、2026年内に受入れ計画を組み直す。技能実習計画の新規認定申請は2027年3月31日が事実上の締切です。
  3. 2026年12月〜2027年1月の公表物をカレンダーに入れる。年金改定率(1月下旬)、介護報酬改定率(12月の予算編成)、雇用保険料率(1月〜3月)がこの時期に出そろいます。
  4. 2027年2月〜3月に届く通知を捨てない。介護保険料決定通知、年金額改定通知、住民税の課税明細はいずれもこの時期です。
  5. 年度をまたぐ現況届・所得状況届を先に処理する。改正の有無にかかわらず、出し忘れは支給停止に直結します。
2027年3月までにやっておくことを整理した図解

2027年4月の改正に関連する制度の解説

カレンダー表の各行に対応する詳細記事です。自分に該当する行から読み進めてください。

育成就労制度(2027年4月1日施行)受入れ要件・人数枠・転籍ルール/施行日確定
介護保険2027年改正の論点2割負担の拡大・ケアプラン有料化/いずれも検討中
在職老齢年金の基準額引き上げ月51万円(令和7年度)→65万円/2026年4月施行(確定)
遺族厚生年金の男女差解消20年かけて段階的に/2028年4月施行(確定)
高年齢雇用継続給付の給付率縮小60歳以降の賃金低下時の補填/施行済み
高額療養費制度の2026年8月改定自己負担限度額と多数回該当/施行済み
教育訓練休暇給付金在職中の学び直しの生活費支援/受付中
令和9年度概算要求と補助金の見通し2027年度予算で増減する分野/要求段階
給付付き税額控除はいつから導入時期・対象/検討中(決定ではない)
介護休業給付金 支給申請書の書き方第10期の介護体制変更に備える実務/受付中

分野ごとにまとめて眺めたい場合は医療・福祉カテゴリの記事一覧子育て・生活支援カテゴリの記事一覧から辿れます。

2027年4月の制度改正でよくある質問

2027年4月から年金は増えますか、減りますか。

2026年8月時点では分かりません。令和9年度の改定率は、2026年の物価変動率と名目手取り賃金変動率が確定してから計算され、例年1月下旬に公表されます。改定率が公表されていない段階で「増える」「減る」と書いている情報は推測です。なお改定は4月分(6月支払分)から反映されます。

介護保険料が2027年4月にいくら上がるか、今わかりますか。

わかりません。第10期(2027〜2029年度)の第1号保険料は市区町村が条例で定め、多くは2027年2月〜3月の議会で確定します。国が一律の額を決める仕組みではないため、自治体ごとに上げ幅が異なります。現時点で確認できるのは第9期の保険料段階表までです。

高校無償化は2027年4月からですか。

いいえ、2026年4月に施行済みです。高等学校等就学支援金の所得制限撤廃を含む改正法は令和8年3月31日に成立し、4月1日から施行されています。文部科学省のページにも2027年度に関する変更の記載はありません。

技能実習生を受け入れています。2027年4月までに何をすればよいですか。

3つを確認してください。①2027年3月31日までに技能実習計画の認定申請を終えるか、育成就労に切り替える判断をする。②施行日前に在留資格認定証明書の交付を受けた人は2027年6月30日までに入国させる。③在籍中の実習生について、2027年4月1日時点で2号を1年以上行っている人が誰かを名簿で洗い出す。①が最も期限が近く、実務の起点になります。

子ども・子育て支援金は2027年4月にいくら上がりますか。

令和9年度の支援金率は2026年8月時点で未告示のため、金額は書けません。確定しているのは、令和8年度の被用者保険の一律の支援金率が0.23%で、2026年4月分の保険料(5月の給与天引き)から拠出が始まったことです。実際の負担額は標準報酬月額×支援金率で計算されます。

2027年4月に自分で申請しなければならない手続きはありますか。

個人が2027年4月に新たに行う申請は、原則としてありません。年金額改定も介護保険料改定も自動的に適用され、通知が届きます。ただし、年度をまたぐ現況届・所得状況届のように毎年提出が必要な書類は別です。これらは改正の有無にかかわらず提出期限があり、出し忘れると支給が止まります。

次にやること

制度改正の情報は、施行日が近づくほど精度が上がります。2026年12月から2027年1月にかけて改定率が出そろうため、その時期にもう一度確認するのが最も効率的です。それまでにやることは、自分の該当分野を絞り込むことだけです。

すでに手続き段階に入っている方は、書類の書き方から先に固めてください。年金請求書の記入例を欄ごとに確認する

最終更新:2026年8月26日(施行日は2026年8月26日時点で公表されている一次資料に基づきます。令和9年度の各種改定率・保険料額は未告示です)

出典

  • 厚生労働省「年金制度改正法(令和7年6月13日成立)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00017.html
  • 厚生労働省「年金制度改正法 法律説明資料(概要版)」(施行日一覧) https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001537487.pdf
  • 厚生労働省「育成就労制度の施行に伴う技能実習の経過措置について」 https://www.mhlw.go.jp/content/001622488.pdf
  • 厚生労働省「社会保障審議会(介護保険部会)」第135回(2026年6月29日) https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126734.html
  • 厚生労働省「第262回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75011.html
  • 厚生労働省「令和9年度障害福祉サービス等報酬改定について(報告)」 https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/001702861.pdf
  • 厚生労働省「令和8年度雇用保険料率のご案内」 https://www.mhlw.go.jp/content/001692566.pdf
  • こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」 https://www.cfa.go.jp/policies/kodomokosodateshienkinseido
  • 文部科学省「高校生等への修学支援」 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/index.htm
  • 文部科学省「学校給食費の抜本的な負担軽減」 https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/kyu-lighten.html
  • 日本年金機構「年金額はどのようなルールで改定されるのですか。」 https://www.nenkin.go.jp/section/faq/jukyu/seido/kyotsu/gakukaitei/201805-8.html
  • 日本年金機構「老齢年金ガイド 令和8年度版」(在職老齢年金の支給停止基準額 月51万円→65万円) https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/kyufu.files/LK03.pdf
  • 国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税に関するQ&A」(令和8年5月) https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0026005-024_03.pdf

制度情報の確認

要点

制度の事実確認まとめ

過去制度と現在の状態を分けて確認してください。

対象地域
全国
対象者
2027年4月の制度改正の影響を受ける個人・…
確認した過去制度の金額
現在の位置づけ
通年募集 / 詳細は事務局へ
必要書類
分野により異なる。介護保険料決定通知… 詳細を見る ›
現在の位置づけ 通年募集 / 詳細は事務局へ
必要書類 分野により異なる。介護保険料決定通知書(2027年2〜3月頃到着)/年金額改定通… 詳細を見る ›

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編集・監修: (中小企業診断士)

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本記事は公表資料の確認結果を整理したものです。新制度の決定を示すものではないため、最新の一次情報をご確認ください。